日本人は「難民問題」とどう向き合うべきか 難民を受け入れる以外の支援策は?

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大量の人が縦横無尽に移動する時代だ。移動先の情報も瞬時に共有できる。人々の移動を支える密航業も世界的な産業となっている。その時代にあって、かつてのような難民議論は現実味を持ちえない。難民問題を自国のこととして考えたとき、積極的に受け入れないという選択肢も浮上してくる。私はその方向性でよいと考えており、慎重姿勢を貫いてほしいと思っている。

日本には何ができるのか

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──難民問題での国際貢献は必要です。

そうしたうえで、日本として難民問題に何らかの貢献ができるとするなら、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対する財政支援、そして第三国定住を通じた受け入れという方法がある。この問題に対する日本としての共感を示す、国際協調主義への賛意を示すという意味で意義があるだろう。

現在、日本はUNHCRにとって重要な拠出国になっている。拠出金が難民や国内避難民の生活改善につながるのであれば納税者としてたいへん光栄に思う。実際、私たちの税金が原資となり、トルコやヨルダンにいるシリア難民に現地で支援が行われている。日本で受け入れるよりも効率的な援助ではないか。

ただUNHCRなどの国連機関への拠出も、日本の財政状況を考えれば大盤振る舞いできる状況にない。日本が世界第3位の経済大国であり続けられる保証もない。選択と集中という観点から、国連機関への拠出をシビアに考えていく必要がある。

──それでは、またおカネだけ出して、との評価になりませんか。

難民条約はいわば「押しかけ」の形でやってくる人たちを選別して受け入れるというもの。難民が滞留する国の負担を軽減するため、諸外国、つまり第三国が難民を分担して引き受ける形の第三国定住は、こちらから「招き入れる」形で秩序立てて行われるものだ。その点で両者には大きな違いがある。日本での第三国定住難民の受け入れ数は従来少ないが、無理に増やす必要もない。少数でもしっかりと難民の社会統合を図っていくことが重要だ。

国家として示しうる善意の上限や難民の流入がもたらす諸問題を考慮すれば、日本が慎重な姿勢を取り続けるのは賢明なことだ。難民問題への独自のアプローチがあっていい。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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