すべて署名記事で構成される新聞
──フランスの顔ともいえる中道左派の日刊紙ですね。
発行部数は決して多くありません。前日の発行部数が毎号載るのですが、1970年代末の50万部をピークに最近は20万部台半ば。読者数は紙版が230万人、デジタル版は1575万人とのことです。
ル・モンドの質の高さは情報の詳細さ、分析の深さ、そして論点の明確さにあると認識しています。世界中の政治家や財界人、有識者がそれを指標とし、判断を下す一助にする。社長から記者までサラリーマンの日本の新聞と違って、すべて署名記事で一人ひとりが責任を持って書いており、記者のメールアドレスも付されているので、読者が直接記者に意見をぶつけることもできる。
──一方、日本の新聞に対してはかなり辛辣ですね。
藤原書店の社長から、9.11後の世界をル・モンドがどう伝えているか書いてほしい、と依頼されたのがコラム連載の始まりでした。面白い記事や日本の新聞が取り上げていないテーマ、取り上げてはいても論点がずれていたり分析が浅いテーマを紹介し、日本の読者に問いかけてほしいと。日本の新聞について、実は私も上っ面を載せているだけという気がしていた。今そこにある問題をリアルに取り上げていない。リアルな問題をリアルに取り上げなければ、リアルな解決法など出てこない。その辺が不十分な気がします。
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