イオンシネマ社長が語る「映画館の存在意義」 なぜシネコンを「大学の学び場」にしたのか

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――神田外語大学と千葉商科大学、この2つの大学と連携することになった経緯は?

私がイオンでのグループ人材育成部長時代には経営者教育の一環として、語学力アップのために英語教育を行っていました。また、イオンは千葉に本社があるため、神田外語大学さんとはもともとパートナーシップとして連携していました。それと海外の留学生を採用する際にも、通常は日本語のできる留学生を日本で採用するわけですが、日本語が話せなくても優秀な人材が海外にも多くいるわけですよね。だったら先に採用してから日本語を学んでもらおうということで、神田外語大学さんにお世話になっていました。一方、千葉商科大学さんにはサービス、いわゆる実学ということが学校の理念としてあったので、サービス創造人材の育成のために一緒に何かできないか、ということで内容を詰め、今回の産学連携につながったというわけです。

映画を見て学生に新たなサービスを考えてもらう

神田外語大学と開始した「CINEMA EDUCATION PROGRAM」では、解説付きの上映会イベントを実施している

――今回の取り組みは、授業の一環で単位を授与するとのことですが。

イオンのグループ人材育成部長時代に、新入社員教育も担当していたのですが、そこにはケーススタディとケースメソッドというものがあります。ケーススタディというのはとあるケースに基づき答えを求めていくもの。ケースメソッドというのは、いろんなケースに対してみんなでいろんな意見を言いながらグループの意見をまとめていくというもの。

新入社員研修でケースメソッドを行っていた時に、新入社員から「正解は何ですか」と尋ねられたことがありました。しかし、答えはありません。皆で考え、皆で意見交換をしながら自分のグループの考えをまとめることが目的だと説明しました。今回の千葉商科大学との取り組みは、グループディスカッションを通じて、正解のない問いに対してどうやって考えをまとめていくか。興行や配給においてどういったサービスを提案したら良いか。学生が大学で学んだ経営学を、企業が実際の例で話をしながら、実学として考えてもらうきっかけになればいいなと思い、単位を授与するという流れになりました。

――2つの大学でカリキュラムはどう違うのでしょうか。

どちらかというと神田外語大学では、お客様に映画を観てもらうきっかけを「学習」という視点から増やせないかなということに重点を置いています。娯楽ではなく、時代背景という視点から学ぶ機会を作ります。一方、千葉商科大学は学生に特化した実学。学生が実際に映画の上映を運営する立場で学んでいただきます。

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