イオンシネマ社長が語る「映画館の存在意義」 なぜシネコンを「大学の学び場」にしたのか

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――イオンシネマを使ってイオンの管理職研修を行っていると聞きました。どういったものなのでしょうか。

イオンのダイバーシティ研修はイオンシネマを使用して、実施しています。年4回、幕張新都心を中心に全国で数十箇所でイオンの管理職を集めて、経営幹部の講和・有識者の記念講演を行ったあとに映画を観てもらっています。たとえばテーマが「ワークライフバランス」ということになれば、それに近いテーマの映画を選んで、皆で鑑賞をして感想などを共有しています。普通の教育ではなく、映画を通じて2時間なり何かを感じて態度変容してもらうことも大事だと思っているからです。

しかし、これを企業の中だけにとどめておくのはもったいない。もっともっと地域や行政、学校などと連携しながら、地域の方々が元気になって、健康増進につながるようなカリキュラムをこれからは作れたらと思っています。

イオンの管理職研修に映画鑑賞を導入

神田外語大学の上映会イベントでは、学生自らが上映会の宣伝、チラシの作成などの運営を行った

――イオンシネマの社長に就任して3年になります。手応えはいかがですか。

わたしは映画に関しては素人でしたので、みんなに教わりながらここまでやってきました。社長になって思ったことは、やはり映画館というものは、いかにして快適な空間を作りだすか、いかにして映画に付加価値をつけて感動の度合いを高めていくかが大事かということを実感しています。そういう意味ではまだまだ課題はあります。常々わたしは、感動には三つの要素があると思っています。一つ目が「サプライズ」。二つ目が「匠の技、プロの技」。そして三つ目が「おもてなし」だと。やはり日本の文化の中でも、おもてなしの心は一番のポイント。おもてなしという視点で大学と何かが出来ないかなということと、我々はプロの技で匠を目指そうと思っているので、我々もそこに向けて進んでいきたいと思っています。

――今回の産学連携で蓄積したノウハウを他の地域の大学で展開するということはあるのでしょうか。

まずはこの2つの大学からスタートして、いずれは他の地域でもやっていきたい。もちろん地域ごとのニーズに合わせてですが、この2つの大学だけで終わることなく、何とか広げられないかなと思っています。色々な行政の方とお話すると、ぜひ我々の街でも、というニーズはあるので、仮に映画館というハードがないとしても、ソフト面で映画文化を発信できる方法を探っていきたいと思っています。

――映画館のないところで出張上映会などを行う可能性もあるということですね。

たとえば今、熊本が地震の被害を受けて、映画館が営業できない状況が続いています。もちろん衣食住が優先ですが、その次には映画館を早くオープンさせて、普段の暮らしをとり戻して、昔のように笑顔で楽しめるようになればと思っております。

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