「映画激戦区」に挑む新宿ピカデリーの戦略 女性向けレーベルの立ち上げで差別化目指す

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松竹マルチプレックスシアターズの女性社員。鈴木巧さん(左)、伊藤旦子さん(中央)、岡田愛由さん(右)(撮影:大澤誠)
新宿の映画興行界が熱い注目を集めている。昨年4月にオープンしたTOHOシネマズ新宿が驚異的な動員数を記録するなか、それに呼応するかのように、これまで劇場別動員数のトップを走ってきた新宿ピカデリーも順調に成績を伸ばしているという。
現在、上記2つのシネコンに新宿バルト9を加えた、新宿のシネコン3館が日本の興行界をリードしていると言っても過言ではない。そんな中、新宿ピカデリーは、女性向けの新たなレーベル「ピカデリープライムレーベル」(以下PPL)を立ち上げ、女性客に向けてアピールをしている。同レーベル第3弾となるイタリア映画『これが私の人生設計』が3月5日より公開されている。
伊勢丹新宿店の隣という好立地を誇る同館だけあって、女性をターゲットにした作品レーベル作りは必然の流れだったといえる。今回は松竹マルチプレックスシアターズの女性社員、SMT最初の女性支配人であり、PPLを仕掛けたマーケティング部・劇場宣伝室の鈴木巧室長、『これが私の人生設計』をPPLのラインナップに加えた番組編成部 番組編成室の岡田愛由氏、新宿ピカデリーの伊藤旦子マネージャーの3名に、新宿ピカデリーの戦略や女性客に訴求する番組作りなどについて聞いた。

"映画を見るなら新宿"になってきた

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――昨年の4月にTOHOシネマズ新宿がオープンしました。その後の影響はいかがでしょうか? 新宿ピカデリー、新宿バルト9ともに、以前と変わらず混んでいるようにも思うのですが。

岡田:そうですね。こんなに新宿で映画を見たいというお客さまがいらっしゃったのかというような驚きは正直あります。

伊藤:今まで新宿ピカデリーやバルト9で見ていたお客さまが少しずつTOHOシネマズ新宿に流れたのではなく、新宿で映画を見る人が増えたのだと思います。そういう意味で新宿全体の映画人口が増えていると思います。

新宿ピカデリーの外観。2008年にオープン、プラチナルームやシートなどの豪華設備も

岡田:いい意味で選択肢が増えたのかなと思いますね。ユーザー目線でいえば、3館で同時に上映されているような大きな作品であっても、徒歩圏内の3つの映画館で時間をずらして上映しているので、選択肢が増えたのではないでしょうか。そういう意味で、お客様にとってもメリットなのではないかと思います。

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