山田太一氏が語る脚本、映画、そして仕事術 「憶病だから仕事で掛け持ちはできない」

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山田太一氏に自身のキャリアを振り返ってもらうと同時に脚本についての哲学を語ってもらった
新たな仕事の形・生き方を模索する女性をメインターゲットにした映像クリエイター養成スクール「ラブストーリー・クリエイター・スクール」では、テリー伊藤、紀里谷和明、山田太一ら第一線で活躍するクリエイターを講師として招聘。実践的な「作品の作り方」をレクチャーする初心者向けの「脚本家・監督養成セミナー」を行っている。
同スクールでは、受講生たちが卒業制作として提出する10分程度のシナリオの中から、最優秀作品を選出。それを実際にプロの手で映像化し、カンヌ国際映画祭の「短編部門」にエントリーする予定だ。その作品の映像化から、国際映画祭へのエントリーまで、数百万円分に相当する諸費用は同スクールが負担するなど、世界で通用するクリエイターの才能をバックアップするというシステムが特色となっている。
今回は、同スクールのスペシャルゲスト講師を務める脚本家・山田太一氏に自身のキャリアを振り返ってもらうと同時に脚本についての哲学を語ってもらった。

映画界はだいぶ変わってしまっている

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――山田さんはかつて松竹に所属し、木下恵介さんに師事されていたことはよく知られていますが、そんな山田さんが今の映画界をどうご覧になってますか

最近、論ずるほど日本映画を見ていませんけど、映画界の事情も僕がいた頃とはだいぶ変わってしまいました。昔は東宝や松竹なんかも撮影所があって。そういうところに入社して鍛えられるということがありましたけど、今はそういうのがないですからね。自己形成は大変だろうとは思いますが、かえって自由でいいのかもしれませんね。

――映画はよくご覧になっていたのですか。

子どもの頃から、まあ人並みに見ていました。昭和の半ばぐらいまでは小さな街でも1軒くらいは映画館があった。でもおカネはなかったし、その歳その歳で手伝いや遊びにも忙しかったから、見る作品は結構選んでいたかもしれません。そのせいかもしれませんが、その時見て感動した映画は、カット割りなど結構細かいところまで覚えていますね。

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