「映画激戦区」に挑む新宿ピカデリーの戦略 女性向けレーベルの立ち上げで差別化目指す

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――新宿ピカデリーは、隣に百貨店の伊勢丹があり、下には無印良品があり。新宿バルト9やTOHOシネマズ新宿などに比べても、女性に訴求しやすい環境だと思うのですが。

女性客が集まりやすい地の利を生かす

鈴木巧(すずき たくみ)/2001年松竹マルチプレックスシアターズ入社。MOVIX利府・MOVIX三郷のマネージャーを経て、06年MOVIX橋本・MOVIX亀有の劇場支配人。15年からマーケティング部劇場宣伝室室長

鈴木:立地に関しては、やはりほかの映画館と比べても利点が大きいのではないかと感じております。

隣に伊勢丹があって、都内近郊から大勢の女性客が集まってくる場所ですから。その隣で映画館を運営させていただいているのは非常にありがたいことだと思っています。女性を意識し、白を基調とした作りなので、運営でも女性に喜ばれる劇場作りを心がけていますね。

――女性客の割合はどれくらいですか。

鈴木:作品に左右されることは多いのですが、平均すると女性が5~6割です。

――そんな中、女性向けの新たなレーベル「ピカデリープライムレーベル」(PPL)を立ち上げました。始めた経緯を教えてください。

新宿ピカデリーのロビー。女性客を意識して白を基調にしているという

岡田:もともと新宿ピカデリーという劇場は、女性でも来やすい劇場にするというのがコンセプトだったのです。館内もシネコンにありがちな暗い感じではなく、白を基調としていますし、ラグジュアリーな空間で映画鑑賞ができるプラチナルームという部屋も完備していましたから。

そんな新宿ピカデリーで、制作国などにこだわらずに、女性向けの良質な作品を上映していこうということで昨年の夏から始めました。

伊藤旦子(いとう あさこ)/2011年松竹マルチプレックスシアターズ入社。MOVIX亀有でマネージャーとして1年勤務ののち、新宿ピカデリーに着任。現在、新宿ピカデリーマネージャー

明日からまた頑張ろう!と思えるものだったり、作品の中で人生を考えさせられるもの、心の中が満たされるような作品を選んでいきたいと思っていました。年間を通じてラインナップを並べることで、このラインの色をご理解いただき、お客さまにも新宿ピカデリーに行けばこういう作品がやっているよ、ということを認知してもらえるんじゃないかと思いました。

――今回でPPLは3作目となりますが、手応えはいかがですか?

伊藤:正直、レーベルの認知度はまだまだという感じですね。PPLの作品だから見に行こうということではなく、見に行った作品がたまたまPPLだったというほうが大きいと思います。

――これから長期的なスパンで浸透させていく段階だということですね。

岡田:年間6~7本ぐらいのラインナップをそろえていきたいなと考えています。今回が第3弾ということでやっと基礎ができた段階。ここからまたさらに伸ばしていく必要があるなと思っています。

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