「映画激戦区」に挑む新宿ピカデリーの戦略 女性向けレーベルの立ち上げで差別化目指す

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――公開規模は小さくても良質な作品というのは、ミニシアターが中心に上映されてきたと思うのですが。

新宿ピカデリーの中にミニシアターがある

岡田愛由(おかだ まなゆ)/ 2013年松竹に入社。新宿ピカデリーでマネージャーとして1年勤務ののち、現在の松竹マルチプレックスシアターズ・番組編成部番組編成室

岡田:そうですね。そういう意味でこれは新宿ピカデリーという劇場の中にミニシアターがある、といった感覚を持っていただけるのが理想かなと思います。

――作品の集まり具合はどうですか?

岡田:今、いろいろな配給会社さんから、お話をいただくようになってきています。これまでの実績が少しずつ積み重なり、新宿でどういう宣伝ができて、どれだけのお客様に見ていただけて、といったことが何となく見えてきているところなので。私達の部署にもこの作品どうですか、というお話をいただく機会は増えてきています。2016年のラインナップはすでに決まっていて。今は2017年まで組み立てを始めているところ。滑り出しとしてはいい形になっているかなと思います。

――年間6~7本ということは、2カ月に1本ぐらいをメドに?

岡田:2カ月に1本といういいタイミングでお届けできればいいのですが、作品の中見を重視して選んでいるので、上映のスパンが縮まることもあります。ゆっくり映画を楽しんでいただきたいので上映回数や上映時間にも配慮しています。

――ラインナップに邦画もあるのでしょうか?

岡田:もちろんあります。今年のラインナップでいうと、6月にスターサンズ配給の『二重生活』という作品をやります。女性に向けた作品は制作国を問わずにやりましょうという方針で臨んでいます。今回はイタリア映画ですけれど、先々はパレスチナの映画やスペインの映画、オランダの映画などがあります。洋邦問わずに上質でバラエティに富んだものを揃えるつもりです。

ピカデリープライムレーベルの第三弾の作品となる『これが私の人生設計』 (C)2014 italian international film s.r.l

――『これが私の人生設計』は、女性の働くことの難しさを描いた映画だと思うのですが、松竹さんは女性に優しい会社だと思えるのですが。

岡田:社風という意味では弊社は女性も多いですし、基本はサービス業なので、女性じゃないと気づかない部分もあります。われわれもそういうところのプライドをもって仕事をしています。そして上司もわたしたちの話をよく聞いてくれますので、働きやすいと思っています。

――ミニシアターなどではよく見かけますが、シネコンで女性支配人さんというは珍しいのでは?

鈴木:確かに10年前は少なかったかもしれません。でも今は女性の支配人もだいぶ増えました。私が外に出ていくと驚かれることがよくありました。社内というよりは、社外で「え?」と驚かれる人が多かったですね。でも仕事をしていくうえでは、男性だから女性だからということはあまり関係ありません。やりづらいと思ったこともそんなにないですし。

岡田が言ったように、むしろ女性の話に耳を傾けてくれる上司も多いです。私は女性初の支配人だったので、女性の意見を聞かせてと言われることも多かったです。

逆に私の意見が女性代表になってしまうということでプレッシャーもありました。女性をターゲットとした新宿ピカデリーを作ったり、今回のPPLや女性向け施策など、女性の活躍の場、女性の意見が反映される環境を作ってくださっているなというように感じます。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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