イオンシネマ社長が語る「映画館の存在意義」 なぜシネコンを「大学の学び場」にしたのか

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――熊本で何か出張上映的なことをやろうという予定はありますか。

熊本のイオンモールの中に「イオンホール」というホールがあるんです。そこは震災の被害を受けておらず、ホールとして残っているのでそこの空間をうまく使って何かが出来ないかなと思っています。ただしそこの座席は簡易的な椅子なので、映画館のような空間は難しいとしても、お客さまと一緒に安らぐ場が提供できないかと。熊本の支配人と一緒にいろいろと考え、現在ミニシアターイベントとして実施しています。

――この夏は『君の名は。』と『シン・ゴジラ』が大ヒットを記録したわけですが、集客という面で考えていることはありますか。

たとえば、ショッピングセンターの来店客数からすると、そこから映画館に来ている人はまだまだ数パーセントでしかないという計算になります。逆に言えばほとんどの人たちは映画館の目の前を通り過ぎているわけです。まだまだショッピングセンターの中にイオンシネマがあることに気付いていなかった人が多くいるわけです。やはり映画を観る習慣がなければ、なかなか映画館に足を運ぶこともないですからね。

子どもの「映画館デビュー」をサポート

牧和男/まきかずお
1961年生まれ。1985年にジャスコ(現イオン)に入社。同社新事業企画部部長、メガペトロ社常務取締役、グループ人材育成部部長などを経て、2014年にイオンエンターテイメント社長に就任した(撮影:梅谷秀司)

――観客の掘り起こしという意味で、行っていることはありますか。

小さなお子さまを対象に「こどもの映画館」という、小さなお子さまの映画館デビューをサポートするための取り組みを行っております。これは映画館で子どもが泣いたらどうしよう、騒いだらどうしようと気兼ねをしているお客さまもいらっしゃるので、どうぞ騒いでください、という取り組みです。

――子どものための環境作りでどのようなことを心がけていますか。

まず劇場の音量を下げて、さらには場内も明るめにしています。まずは映画を観る環境に慣れてもらって、それから少しずつ映画を観るマナーを学んでいただければと。

――実際の反応はいかがですか。

「子どもたちが目を輝かせながら映画を観る姿を初めて見た」という感想をいただいた。これはすごいことだなと思いました。やはり小さな頃に映画館に行く習慣があるお子さんは、大きくなっても映画館に行く習慣が出来ると思うんです。そういう意味では映画人口の裾野を広げる活動も必要であると思っています。

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