田中角栄の何が多くの人々を惹きつけたのか 最もよく知る男が語る「限りなき人間的魅力」
いま「田中角栄ブーム」といわれる。テレビや雑誌などで次々と“角栄特集”が組まれているほか、関連書も続々と刊行されている。田中氏の名言集や評伝などベストセラーになっているものも多い。
こうした“角栄本”の「ネタ元」といわれるのが、元秘書・早坂茂三氏(2004年逝去)の数々の著書である。早坂氏は、田中氏が病に倒れるまでの23年間、敏腕秘書として苦楽をともにした。最近の角栄ブームが追い風となって著書が続々と復刻されており、最後の書き下ろし『田中角栄と河井継之助、山本五十六』(旧題『怨念の系譜』)もこのたび復刊された。
この「角栄をもっともよく知る男」が語り遺した貴重な証言を、前回に引き続き『新・渡る世間の裏話』から抜粋して公開する。
「すさまじい闘争心」と「縄文的な優しさ」
私があの人(田中角栄)を見て、いつも思ってきたのは、闘争心の塊であったことです。負けてたまるか。やっぱり、男は強くなければ生きていけない、とつくづく思いました。
もうひとつ、あの人は縄文人というか、心の底から温かい、優しい人であった。強さと優しさ、この2つを絶妙のバランスで持っていたのが田中角栄であったと思います。彼は立場の弱い人に威張ったり、鼻であしらうことをしなかった。だから、大勢の人が周りに集まったんでしょう。
それと、あの人はゴルフが大好きだった。照る日、曇る日、雨の日と言わず、本当によくやりました。普通の人はコースに出ると、たいてい、ワンラウンドやるんですが、角栄さんは最低でツーラウンドでした。1日で2里(約8キロ)か3里(約12キロ)も歩く勘定になります。走るように歩く人でした。
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