大ブーム「田中角栄」は何がスゴかったのか? 最もよく知る男が語る「決断と実行力」

「俺は十年後、天下を取る」
私があの人(田中角栄)のところへ弟子入りしたのは、新聞記者をしていた32歳のときでした。昭和37(1962)年12月10日に大蔵大臣秘書官事務取扱という辞令をもらったんです。
実はその前の12月2日、大蔵大臣室に呼ばれまして、そのときに、オヤジさんが私に言った。
「俺は十年後、天下を取る」
いきなりです。正直に言って、「頭がおかしくなったんじゃないか」と思いました。その年の7月、44歳の若さで池田勇人(はやと)首相に大蔵大臣という大役に抜てきされたばかりでしたから……。それなのにもう今度は天下取りか、と思ってじっと顔を見た。それでも本人はまじめな顔をして、気負った様子がありません。
「お互いに一生は1回だ。天下取り、これだけの大仕事がほかにあるかい」
と言うので、
「ありません」
と答えました。
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