大ブーム「田中角栄」は何がスゴかったのか? 最もよく知る男が語る「決断と実行力」

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ロッキード事件丸紅ルート判決公判後、再保釈手続きを終え東京地裁を出る田中角栄元首相と早坂茂三氏(右、写真:共同通信)
いま「田中角栄ブーム」といわれる。テレビや雑誌などで次々と“角栄特集”が組まれているほか、関連書も続々と刊行されている。田中氏の名言集や評伝などベストセラーになっているものも多い。
こうした“角栄本”の「ネタ元」といわれるのが、元秘書・早坂茂三氏(2004年逝去)の数々の著書である。早坂氏は、田中氏が病に倒れるまでの23年間、敏腕秘書として苦楽をともにした。最近の角栄ブームが追い風となって著書が続々と復刻されており、最後の書き下ろし『田中角栄と河井継之助、山本五十六』(旧題『怨念の系譜』)もこのたび復刊された。
この「角栄をもっともよく知る男」が語り遺した貴重な証言を、『新・渡る世間の裏話』から抜粋して紹介する。

「俺は十年後、天下を取る」

角栄を最もよく知る著者、最後の書き下ろしが待望の復刊。書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします

私があの人(田中角栄)のところへ弟子入りしたのは、新聞記者をしていた32歳のときでした。昭和37(1962)年12月10日に大蔵大臣秘書官事務取扱という辞令をもらったんです。

実はその前の12月2日、大蔵大臣室に呼ばれまして、そのときに、オヤジさんが私に言った。

「俺は十年後、天下を取る」

いきなりです。正直に言って、「頭がおかしくなったんじゃないか」と思いました。その年の7月、44歳の若さで池田勇人(はやと)首相に大蔵大臣という大役に抜てきされたばかりでしたから……。それなのにもう今度は天下取りか、と思ってじっと顔を見た。それでも本人はまじめな顔をして、気負った様子がありません。

「お互いに一生は1回だ。天下取り、これだけの大仕事がほかにあるかい」

と言うので、

「ありません」

と答えました。

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