政治オタクを長年やってきて、今週は久々に新鮮な感動に震えている。これだけ大規模に無党派層が動いたのはいつ以来だろう。もちろん7月31日の東京都知事選挙のことである。投票率は59%に達し、小池百合子氏が291万票と実に全体の44.5%を獲得した。2位の増田寛也氏は179万票(27.4%)、3位の鳥越俊太郎氏は134万票(20.6%)であるから、完勝と言っていい。
投票日の1週間前、7月24日の読売新聞は「小池・増田氏競り合い、鳥越氏が追う」と報じていた。「競る」というのは、世論調査の結果が2~3ポイント以内であるときの常套句。ちなみに「追う」は5ポイント以上、「リード」は10ポイント以上といわれている。
無党派層を呼び出す魔法の色
ところがふたを開けてみたら大差であった。最後の1週間にいったい何が起きたのか。自民党関係者は今週、増田候補支持をお願いした各方面に対し、「あの『大年増の厚化粧』発言さえなければ…」と言って頭を下げて回っているらしい。その証拠に今回の都知事選では、めずらしく女性の投票率が男性を上回ったそうである。
小池百合子氏の政治家デビューは1992年。元熊本県知事の細川護煕氏が日本新党を旗揚げした際に、テレビ東京キャスターから参院選に出馬して政界に身を転じた。あのときの日本新党もシンボルカラーは緑であった。緑は無党派層を呼び出す魔法の色であった。
1993年の宮沢内閣不信任の後には、この日本新党がゼロからいきなり35議席を獲得した。この時衆院に初当選した仲間には、小池氏と細川元首相はもちろん、野田佳彦元首相、枝野幸男現幹事長、海江田万里元代表、前原誠司元代表などがいた。後に自民党に転じた中には茂木敏充政調会長や伊藤達也元金融相がいて、さらに中田宏元横浜市長、河村たかし現名古屋市長なんて顔ぶれもあった。
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