メイ新首相に残された英国唯一の「存続策」 選ぶべき道はひとつしかない

✎ 1〜 ✎ 264 ✎ 265 ✎ 266 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
就任演説を行う英国のテリーザ・メイ新首相 (写真: ロイター/Toby Melville)

原文はこちら

英国ではメイ新首相が誕生したが、国民投票で有権者が選択したEU(欧州連合)離脱の後の姿はなかなか見えない。離脱を実行するには時間を要しそうだ。

離脱に向けては不明確な要素がいくつもある。1つは交渉を始める時期である。加盟国の離脱手続きを定めたEU基本条約(リスボン条約)50条によると、英国が通知してから2年以内に離脱手続きを完了させなければいけない。メイ新首相は今のところ、年内に交渉を始めるつもりはないと公言している。

2つ目は英国とEU加盟国間で、将来の貿易協定をどうまとめるかだ。英国は同50条に基づき、離脱交渉において「英国とEUの今後の関係に関する枠組みを考慮すべき」と訴えるだろう。しかしEU側は貿易協定について、英国の離脱後に協議に入ると主張している。

3つ目は交渉の目標をどこに置くかである。単一市場への完全なアクセスを求めるのか(ノルウェー型)、限定的なアクセスを求めるのか(スイス型)、あるいは低関税オプションを模索するか(カナダ型)。WTO(世界貿易機関)ルールに沿ってEU諸国と貿易する道もある。

選択肢としては「ノルウェー型」が有力

不透明要因はまだ残る。労働者の移動の自由について、英国がEUとの貿易協定にどの程度盛り込むかも課題だ。メイ新首相はすでに「移民を管理するルールを盛り込まない貿易協定は受け入れられない」と表明している。

諸々の状況を加味すると、英国の選択肢として有力なのは、ノルウェー型オプションを基に特別なセーフガード条項などを導入し、移民が急増した場合に制限できるようにすることだろう。しかし、こうした特別扱いをすれば、他のEU加盟国からも同様の要求が相次ぐ懸念がある。EU側の同意を引き出すのは容易ではないはずだ。

次ページ連合王国は生き残れるのか?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事