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英国国民が欧州連合(EU)離脱を決めるまで、欧州が直面する最大の課題は難民危機だった。難民危機はEU離脱という災難にも大きく影響した。
とにかく英国の国民投票の結果は衝撃的だった。投票日の翌朝、私にはEU崩壊が避けられない状況に思えた。しかし当初の衝撃が薄まるにつれ、予期していなかったことが起きている。投票に参加した多くの英国人に、「後悔先に立たず」という感情が芽生え始めているのだ。
実際に投票後、英国通貨ポンドは急落した。スコットランドでは住民投票を再実施する現実味が増している。離脱キャンペーンの主導者たちは内輪もめに陥り、離脱派たちの中にも、将来を悲観し始める人たちが出てきた。こうした世論の移り変わりは、国民投票のやり直しを嘆願するキャンペーンへと徐々に発展しており、すでに400万人を超える人がこれを支持している。
マイナス面ばかりではない
英国のEU離脱が負のサプライズであった一方、こうして自然に広がった後悔の念はプラスの反応だったといえよう。離脱をめぐる双方の立場の人々に加え、投票に行かなかった人々さえも立ち上がっている。こうした草の根的な政治への参画は、これまでのEUでは見られなかった現象だ。
英国では今、EU離脱で失うものばかりが強調されている。こうした懸念はマイナス面ばかりではない。この懸念がほかの欧州諸国に広がれば、欧州の団結へとつながる可能性がある。危惧されたEU崩壊のリスクが減るのだ。こうしたプロセスは英国から始まりうる。
国民投票の結果を覆せなくても、署名を集めれば、EUとの関係を見直すなど政治的状況を転換させることはできる。こうしたアプローチをほかのEU諸国も共有すれば、EUはいっそう強固になるはずだ。
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