原文はこちら
私は英国人の母親とオランダ人の父親を持つ英国系オランダ人だ。そのため今回のBrexit(ブレグジット、英国のEU離脱)をつい個人的な出来事として受け止めてしまう。私はユーロ信奉者ではないが、今は事故で手足を失ったような感触すら覚えている。
英国は200年間以上にわたり、自由と寛容の国家としての手本だった。移民を積極的に受け入れてきたことは、その一つの表れである。
過去においても英国では1800年代後半に、ユダヤ系のベンジャミン・ディズレーリ氏が保守党の首相に就いたこともある。1960年代にはビートルズやローリング・ストーンズといった若者文化が世界に広がり、英国の自由の国というイメージは強固となった。
イメージは一夜で様変わり
いくら産業が衰退し、国際的影響力が低下しても、私にとって英国はナンバーワンだった。そうしたイメージは、Brexitによって一夜で様変わりしてしまった。
もちろん私のような感情がすべてではない。オランダの極右政党・自由党のヘルト・ウィルダース党首はBrexitを受けてこうつぶやいた。「英国に万歳!今度はわれわれの番だ」。こうした破壊への衝動は伝播する。今後われわれは、離脱が英国や世界の経済にもたらす負の影響はもちろん、こうした思想も警戒すべきである。
投票者の過半が離脱を選んだことには、当然ながら合理的な理由もある。荒廃した炭鉱町、寂れた港町や崩壊寸前の重工業都市に住む労働者たち。彼らはグローバリゼーションの恩恵を被るロンドンの金融街から取り残され、移民によって職を奪われている。今まではそうした不満を口にしたところで、単に人種差別主義者と片付けられていた。
外国人に対する警戒心は、外国人が少ない地方でより顕著だ。実際、多国籍都市のロンドンではEU残留が支持され、地方の多くでは離脱が支持された。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら