ユーロの「終わりの始まり」が現実化する懸念

イタリアで「反ドイツ」の火が上がりかねない

独メルケル首相(左)に怒られているようにも見える伊レンツィ首相(右)。銀行の不良債権問題をきっかけに、事態が急変する懸念がある(写真:picture alliance/アフロ)

共通通貨「ユーロ」の構造問題が、修復不可能なレベルに広がってきた。それを端的に示すのが7月7日のEU欧州委員会によるスペインとポルトガルに対する制裁勧告だ。

2015年の財政赤字削減目標が未達であったスペイン・ポルトガルに対し、EU財政ルールに基づいて罰金などの制裁を科すように勧告が出された。12日に開かれるEU財務相理事会が同意すれば、制裁の手続きが開始される。

なぜこの時期に「KY勧告」が出てしまうのか?

英国が国民投票でEU離脱方針を決め、改めてEUの結束を固めなければならなくなった今、なぜ反EU勢力に火をつけるような勧告が出るのか?制裁勧告が出たスペインやポルトガルはもちろん、同じように、EUの指示で緊縮財政を続けるイタリアやフランスでも、反EU勢力が勢いを増すきっかけとなりかねない。

EUを主導しているのは、EU最大の経済強国ドイツである。南欧のEU加盟国で勢力を拡大しつつある急進左派勢力や極右勢力など、反EU勢力は、今のところ「EU官僚」「ブリュッセル(EU本部があるベルギー首都)」を、緊縮財政を押し付けて景気を低迷させる元凶として批判しているが、一歩間違えば、批判の矛先は「ドイツ」に向かいかねない。

そのドイツには焦りがある。経済的に弱体のギリシャなど南欧諸国を、ドイツがEUを通じて財政的に支えていることに、ドイツ国民の不満が膨らんでいるからだ。「われわれの税金を使ってギリシャを支えるのはやめろ」という声が広がっている。

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