参院選圧勝はアベノミクスを苦境に追い込む 「黒田バズーカ」が3回目の空砲に終わる時
参議院選挙で与党が圧勝した。この間、世界では英国のEU離脱による悪影響の広がりが懸念されるなか、イタリアの銀行の経営不安再燃や英不動産ファンド解約停止などの混乱も見られたが、金融システム不安には至らず金融市場全体としては落ち着きを取り戻し始めている。
日銀の追加金融緩和の可能性は高まった
為替市場では、引き続き英国ポンドが売られる一方、安全資産だとされる日本円や日米欧の国債へのマネー逃避が鮮明になり、日本円は8日までの1週間で2.48%上昇し、世界の主要25通貨の中で最も上昇した通貨となった。
その一方で、混乱の震源地である英国株式市場がプラスを記録するなか、東京株式市場はマイナス3.67%と、世界の主要25市場のなかで下落率トップとなった。金融市場では「世界で最も最も安全だと思われている通貨を持つ国の株式市場が世界で一番安全ではない資産」だと見做されるという乖離現象がみられている。
ドル円相場が一時6月24日以来の1ドル99円台まで上昇し、日経平均株価が1万5000円近くまで下落してきたことで、国内では日銀の追加緩和への期待が高まってきている。
10日に投開票された参議院選挙では自民党を中心とした与党が大勝した。安倍首相は「アベノミクスのエンジンを最大限にふかし、デフレからの『脱出速度』をさらに上げる」と主張している。これによって、日銀が7月末に開催される金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性は高まったといえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら