参院選圧勝はアベノミクスを苦境に追い込む 「黒田バズーカ」が3回目の空砲に終わる時

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しかし、消費者物価(生鮮食品を除く総合)が3カ月連続でマイナスを記録し、「2%の物価安定目標」の達成に赤信号が点灯するなかで追加金融緩和に踏み込まなければ、日銀が政策目標の実現を放棄した印象を与えてしまう。これは日銀が円安政策を諦めることであると同時に、マイナス金利政策が実体経済に効果がないことを認めることになるため、円高・株安を招くことになる。

一方、日銀が追加緩和に踏み切った場合でも、市場が円安・株高に転じない限り市場は「2%の物価安定目標」の達成は不可能であると判断し、早晩円高・株安に転じる可能性が高い。

アベノミクスがついに「エンスト」を起こす日

だが、安倍首相率いる自民党が参議院選挙で勝利したことで、黒田日銀は追加緩和に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれた可能性が高い。

そしてそれは、これまで黒田日銀が推し進めてきた「異次元の金融緩和」「マイナス金利付き量的・質的緩和」に対して、「市場の最終審判」が下される日が近付くということでもある。

自民党は今回勝利したが、それはアベノミクスの中心政策であった「異次元の金融緩和」が限界に達したことをさらに知らしめるという皮肉な結果をもたらしかねないものでもある。

これは安倍政権にとって、大きな痛手となるはずである。

誤った政策を掲げていたとしても選挙に勝ち続け、「政治」をコントロールすることは出来る。だが、誤った政策では「経済」をコントロールすることは出来ないものだ。このことを多くの国民が認識するまで、それほど時間を必要としないかもしれない。

これからエンジンを最大限にふかそうとしているアベノミクス。だがアクセルを踏み込んだとたんに「エンストを起こす日」が近いことを想定しておいた方が賢明といえるだろう。

近藤 駿介 金融・経済評論家/コラムニスト

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こんどう しゅんすけ / Shunsuke Kondo

1957年東京生まれ、早稲田大学理工学部土木工学科卒業後、総合建設会社勤務を経て、31歳で野村投信(現野村アセットマネジメント)に入社。株式、債券、先物・オプション取引等を担当した後、野村総合研究所に出向しストラテジストとして活躍。再び、野村アセットに戻ってからは、担当ファンドが東洋経済の年間運用成績第2位に選出されるなどファンドマネージャーとして活躍。その他、運用責任者として、日本初の上場投資信託(ETF)である「日経300上場投信」の設定・上場を成功させ、1996年に野村アセット初のプロフェッショナル・ファンドマネージャーとなる。現在は金融や資産運用に関する客観的な知識を広めるべく、合同会社アナザーステージを立ち上げ、会長兼CEOとして、一般向けの金融セミナーや投資セミナーなど専門家向けセミナー等も開催中。自身が手掛けるメルマガ『マーケット・オピニオン』は、個人投資家から圧倒的な支持を得る。

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