女性、障害者、外国人、そしてLGBT(性的マイノリティ)。多様な人材を活用して企業の競争力を高めようというダイバーシティ(多様性)推進の動きが進んでいる。これまで日本人・男性・既婚者(主に専業主婦の妻)・健常者がメインプレーヤーであった日本企業にも少しずつ変化が出始めているように見える。
東洋経済CSR調査では、ダイバーシティに関連する項目も多く調査している。今回はこれらのデータを基に作成した「ダイバーシティ企業ランキング」をご紹介する。
このランキングは昨年まで東洋経済が行っていた「ダイバーシティ経営大賞」の1次審査(東洋経済社員による審査)を行う際の参考データとして作っていた評価データをベースにしている。これまで外部公表していなかったが、「ダイバーシティ経営大賞」が第5回で終了となったため、このノウハウを残すため、今後は評価得点を毎年作成してランキングとして発表することにした。今回の公表にあたり、一部評価項目の見直し、配点の変更などを行い、これまで以上に納得性の高いものを目指した。
評価は、①(ダイバーシティ推進の)基本姿勢(満点12点)、②多様な人材活用(同12点)、③女性の活躍(同33点)、④育児・介護(同19点)、⑤働きやすさ(同28点)の5部門。各部門の評価項目(6ページ目に掲載)を得点化し、それらを合計した総合得点(満点104点)でランキングを行った(データは2012年時点)。
いずれも加点方式で得点がマイナスにならないなど、基本的な仕組みはCSR企業ランキングと同じ。ただ各評価部門の最高得点はそれぞれ異なる。特に「女性の活躍」は33点と配点が大きい。これは日本企業のダイバーシティの取り組みが女性活用中心のためだ。「ダイバーシティ経営大賞」の応募企業も、女性活用を最重要テーマとするケースが多かった。このように日本の現状にあった評価としている。なお、評価部門の「多様な人材活用」には女性に関する項目は外しているので注意していただきたい。
首位の東芝は3部門で満点
ではランキングを見ていこう。トップは東芝で総合得点は94点。同社は「多様性の受容と尊重」「ワーク・ライフ・バランスの実現」「意識風土の改革」を3つの柱とし、ダイバーシティ推進を進める。また、女性比率、女性役職比率とその男女差、外国籍従業員数、障害者雇用比率などをKPI(重要業績評価指標)として、数値の目標も設定している。
各部門の得点では「ダイバーシティ推進の基本姿勢」「多様な人材活用」「育児・介護」が満点。外国人管理職の存在や2.17%と高い障害者雇用率。取得者全員が対象の「職場復帰プログラム」など幅広い産休・育休取得をサポートするプログラム。被介護者1人につき3年、育児では小学校卒業まで認められている短時間勤務制度などで高評価となった。
「働きやすさ」は充実した各種制度で27点。社内公募制度、FA制度、キャリアアップ支援制度など多様な制度を整備。有給休暇取得率(80.8%)も業種平均を上回り、高い評価につながった。ただ、残業時間が若干長いことなどで、わずか1点だが満点に届かなかった。
一方で「女性の活躍」は満点33点に対して24点。2012年7月時点では、女性役員比率2.4%(1人)、女性部長職比率2.1%(62人)、女性管理職比率3.6%(276人)といずれも低い。
日本企業は社内昇進が普通のため、女性役員や女性部長を増やすためにはその前段階の管理職を多く育てることが不可欠だ。同社は全従業員3万6754人のうち女性が4291人と全体の11.7%が女性だが、30歳未満で見ると21.0%と倍近くになっている。この比較的多い若い世代をどのようにキャリアアップさせていくかが今後のカギとなりそうだ。
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