子どもと未来について話してみよう
このように、歴史を振り返ってみても産業構造はつねに変化している。それらの変化を見据えたうえで、仮にこれからも日本を拠点として生活し続けることを想定する場合、子どもたちと一緒にどんな仕事が日本市場でありうるのか、議論をしてほしい。また、海外を今後の生活の拠点と考える場合、どんな仕事のチャンスがありうるのかを議論するのもよいことだろう。
よく言われる話であるが、日本の国際競争力(IMD)は、1990年代初頭は世界で1位だったが、2012年は27位。この20年間下落し続けている。
さらに、長らく自動車産業とエレクトロニクス産業が日本の基幹産業となってきたが、エレクトロニクス産業は著しく衰退しており、自動車産業も競争力が低下してきている。
前回から検討してきたように、国際競争力が下落し続けているのは、産業競争力の源泉が変わってきているのに、その変化に対応できていないからである。たとえば、エレクトロニクス産業の競争力の源泉は、欧米諸国から日本へ、日本からアジアへと移行してきている。
ここで、国家や企業が打てる手は2つで、ひとつはエレクトロニクス産業を強化することで国家の競争力を高めていくという手、もうひとつはエレクトロニクス産業以外の産業を強化することで国家の競争力を高めていくという手である。ご存じのように、米国は後者を選択し、IT産業と金融産業に軸足を移し、現在でも高い国家の競争力を誇っている。
このような世の中の変化を見据えたうえで、子供たちが将来、大人になったときに、どのような職業の選択肢があるのか、また、どういうスキルを身に付けないといけないのか、議論することには価値があるし、そして、パパやママのサポートなしには、なかなかそういう議論もできないだろう。
以上、外部環境の変化に対し分析を加えてきたが、それらに対し子どもの教育面で、どのような要素が強みになり弱みになるという判断をしていったらよいのだろうか。
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