就活生に期待する能力=社員に期待する能力?
〝宇宙人襲来〟のような状況、ESの設問が真に問うものとは?

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今、都内近辺に、スタッフの頑張りは十分だが、この数カ月売上が激減しているアパレルショップがある。このままだと、事業の継続に支障が出るかもしれない。店長は状況を打開すべく、なんとか売上アップをとハッパをかけている。スタッフのあなたは、このとき何をすべきだろうか。400字程度でまとめなさい。

なんとも漠然としている。とはいえ、ケースメソッドだと考えれば、情報が不十分であることに問題はない。現実においても、意思決定に必要な情報が全て揃っていることはほぼなく、求められるのは、むしろ断片的な情報から判断する能力だ。

設問の意図やいかに? ESが探ろうとするもの

学生の当初のアイデアは、売上減の原因を調べ、顧客を設定し直したうえで、最適なマーケティング・ミックス(製品、価格、プロモーション、流通)を考える、という教科書的な指針だった。

ラブレターにもたとえられるエントリーシート、学生と企業の真剣勝負。撮影:今井康一

なるほど、授業の成果はでているが、これなら誰でも書ける。本人もその辺りはよくわかっているようで、他の応募者との差別化をせねばと悩んでいた。

この教科書的な流れの中でも、もう少し詳細な分析に進むことは可能だ。売り上げ減少は、外的要因、内的要因どちらによるものか。

売上を平均客単価×来店客数、曜日毎、天気毎と分解してみれば、細かい状況が見えてくる。顧客についても、新規顧客とリピート、どちらが減っているのかわかれば、それに合った対策を考えられる。

新規顧客獲得には、宣伝告知が必要であろうし、リピートされないのは、店舗内の品揃えの問題かもしれない。

しかし、このESで求められているのはそんなことなのだろうか。

であれば、比較的易しい。また、さらに単純に、応募者が、ある設問に、どのような観点――マーケティング、経営戦略など――から答えようとするのか、その確認のみを求めている可能性もあるにはある。

とはいえ、せっかくの機会だ。学生には、このケースにもっと踏み込んで、自由に考えてみたらどうだろう、と提案した。素直に答えるだけでは、あまり面白さがない。

次ページよく考えたら、まるでSF?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事