メディアはプラットフォームに頼ると危ない

Facebook、Googleが全てを吸い上げていく

そんななか、多くのパブリッシャーが頼りにする企業がバウンスエクスチェンジだ。創業4年の同社は、サイト訪問者に対し、コンテキストとユーザー個人にマッチした行動喚起を提供している。当初はeコマース企業向けツールとして発足したが、2014年にはそのサービスがパブリッシャーにも有用であることに気がついた。

CEOのブロック氏によれば、現在バウンスエクスチェンジは「米国内のほぼすべての主要パブリッシャー」にサービスを提供しており、顧客はコスモポリタンやプレイボーイなどのライフスタイル誌から、フォーアワー・ワークウィークやファーザリーなどのバーティカルメディアまで多岐にわたる(米DIGIDAYも同社の顧客)。クライアントは同社のツールを、ニュースレター登録、有料購読、商品購入などの増加のために使っている。「初期に顧客となったレガシー企業は大きく成長した」と、ブロック氏は言う。

読者のメールアドレスを手に入れたあとも、パブリッシャーにはやるべきことがたくさんある。メールへの反応には個人差があるため、フュージョンやベンチャービートといったパブリッシャーは、イテラブルなどのツールを利用して、ニュースレターの口調や雰囲気や文体に、読者の反応に応じた変化を加えている。「世の中のほぼすべてのパブリッシャーが同じことをやっている」と、イテラブルのマーケティング担当バイスプレジデント、デビッド・ランゲル氏は言う。

パーソナライズと総合性のジレンマ

200社以上のパブリッシャーが、読者のメールアドレス取得のためにバウンスエクスチェンジを利用している

自社サイトを訪れたユーザーには、興味を持ちそうなコンテンツを確実に見てもらう必要がある。ニッチメディアにとって、これはさほど難しいことではない。たとえば料理サイトなら、ファーストパーティーデータやときにはサードパーティーデータをもとに、どの読者がヴィーガンか、グリルが好きなのは誰かといったことを推量し、それに沿ってユーザーが閲覧するサイトの外見やコンテンツを調整できる。

だが、総合メディアにとって、ページのパーソナライズは難題だ。英国のEU離脱の記事を読んだユーザーにすすめるべきは、ジェームズ・ボンド映画のレビューだろうか、それともタイカレーのレシピだろうか。それだけでなく、ユーザーの好みに合わせるのか、それともサイトの幅広い内容を知ってもらうのかというジレンマも生じる。

ウォールストリート・ジャーナルが出した答えは、画一的な有料購読モデルから、内容の異なる複数のデジタルメンバーシップへの転換だ。ファーストパーティーデータとサードパーティーデータを利用した読者の迅速な分類がこれを可能にした。読者へのおすすめ記事も個人に合わせたものへと移行しつつある。

次ページオーディエンスを必死につなぎ留めようとするなかで
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