メディアはプラットフォームに頼ると危ない Facebook、Googleが全てを吸い上げていく
フェイスブックとグーグルは、パブリッシャーにとってなくてはならないトラフィック供給源だ。ソーシャルアナリティクス企業 ニュースウィップが先月発表した調査結果によれば、調査対象となったパブリッシャーの5分の1は、フェイスブックからのトラフィックが全トラフィックの21~40%を占めた。さらに4分の1では、フェイスブックからのトラフィックが全体の41~100%にのぼった。このようなパブリッシャーは、検索エンジンの王座に長く君臨するグーグルにも、強く依存している。そのフェイスブックとグーグルが、そろって読者をプラットフォームから出すまいと手を打ってきているのだ。
こうした動きは、パブリッシャーがどれだけオーディエンスを収益につなげられるかに重大な影響を及ぼしている。たとえば、グーグルの高速記事フォーマット、AMP(Accelerated Mobile Pages)は、 すべての広告タイプに対応しているわけではない。フェイスブックの高速読み込み記事テンプレート「インスタント記事」からの広告収入は、もとから自社サイト広告収入よりも低かったが、さらに下がり続けていると不満を漏らすパブリッシャーもいる。英紙「インディペンデント」によれば、インスタント記事の広告料は今年になってから 15%以上も下落したという。
インスタント記事は、読み込みこそ速いものの、そこから提供されるオーディエンスデータは、自社サイトで得られるデータに遠く及ばないと、パブリッシャーは不満を訴えてきた。
こうした新フォーマットを避けることもできるが、それには危険がともなう。ソーシャルアナリティクス企業バズスモーによれば、フェイスブックからパブリッシャーサイトに読者を誘導するリンクベースの投稿のリーチは、今年に入って急激に減少しているという。フェイスブックがプラットフォームを離れずに読めるインスタント記事を推奨しているためだ。
読者をつなぎ留める工夫
フェイスブックとグーグルがパブリッシャーにとって頼りになるトラフィック供給源であったときも、読者を引き止めておくのは至難の技だった。高い直帰率に対抗するため、パブリッシャーは読者の自社サイト滞在時間を延ばしたり、ニュースレター登録やサイトのメンバー登録といった形で読者をつなぎ留めたりしようと試みてきた。