「前職の後輩だっただんなは家事・育児に協力的で、毎朝、子どもを保育園に届けてくれるのですが、時には出張に行ってしまいます。仕事も、来週の締め切りが、経営の判断で急遽、明後日までに変更なんてこともあります。
ただでさえ精神的にも体力的にも余裕がないので、こうしたイレギュラーが発生すると、実際の大変さ以上に大変と感じてしまうんです」
初めての子育ても、予想外の連続で、パニック状態に陥ったこともあった。
「赤ちゃんって熱を出すと、次にお腹を壊すんですね。それから下痢になって、おむつかぶれを起こしてしまう。すると、お尻が痛くて1日中、泣くんですよね。こうなると、もうお手上げ。自分のことをやる時間なんて一切なく、1日中軟膏を塗ってはオムツを変えるしかない。
そんなときに限って、取引先の調査会社から『例の件、どうしますか?』なんて電話がかかって来る。気持ちが焦ってしまい、ますます余裕がなくなるんです」
こうした修羅場を経験するうちに、加古さんは自分流の「時短勤務の流儀」を見出していった。
加古さん流、“時短勤務の流儀”
そのひとつは、「次に何が起こりそうか、予測して働く」ことだという。どういうことか?
「社長ら役員の経営会議が進む中、現在進行中のプロジェクトの優先度がどんどん下がってくることってありますよね。反対に、経営会議に、急きょ、新しい議題が持ち上がり、それに伴い、全然違う仕事が落ちてくることもあります。こういう事態に備えて、経営に近いキーパーソンの方にいつも、今経営では何が話題になっているかを、聞くようにしています」
これにより、無駄な仕事をしないで済む。時間がないことが生み出した一種の知恵だ。
上司やキーパーソンとのコミュニケーションを密にすることは、業務量の調整や、仕事の効率化にも、つながる。
「自分の役割をきちんと果たすためにも、仕事を受ける前に、これはできる、できない、やる、やらないと、明確に伝えるようにしています。また、外注に頼んでできる仕事は積極的にお願いし、自分が価値を出せる仕事に注力する。引き受けた仕事も、納期までに仕上げるのが無理そうだったら、ぎりぎりまで抱え込まず、早めにSOSを出すようにしています」
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