「今、このタイミングで花を咲かせないと、先はないな、と。ここで、一気に仕事の力をつけるつもりでした」
加古さんの期待どおり、ディー・エヌ・エーは経営の意思決定が速く、仕事を任せてもらえる環境だった。毎日、終電ギリギリまで働いて、自分が成長している実感を得、喜びを見出していた。
ところが、入社1年目にして、予想外の妊娠が発覚したのだ。
育休中、会社からの思わぬ“メッセージ”
「私の予定としては、入社して2年間はガッチリ働いて、力を蓄える予定でした。結婚・出産はその後かなと。でも、子どもはこのタイミングで来てくれたんですよね」
妊娠中はつわりがひどく、「やりたいと思っているのに、実際は体がついていかないつらさ」を嫌というほど味わった。
加古さんが妊娠したせいで、本当は異動を希望していた同じ部署の同僚の異動が急きょ取りやめになり、「申し訳ない思いでいっぱい」で悲観したという。
元来、努力家で熱中家の加古さんは、全力投球できない状況にストレスがたまる体質のようだ。だから、育休も半年で切り上げ、復帰した。
「働かない生活にも飽きてきていたころ、ヤフーニュースでうちの会社が、満1歳半までの子どもがいる社員に、毎月2万円の保育料を支給するというトピックを見つけたんです。これは、会社が育休取得中の社員に早く戻って欲しいというメッセージに違いない。なんだ、会社に戻っていいんだと、うれしくなりました」
子どもを1月に無認可保育園に入れておけば、4月から認可保育園に入園させやすいことも、復帰を急いだ理由だった。
「そのためには、3カ月間は、入学金30万円、月謝14万円のインターナショナルスクールに預けるしかなかった。保育環境には満足でしたが、この出費は痛かったですね。母乳で育てていた息子は、最初は哺乳瓶を拒否して、5時半にお迎えにいくまで飢えていた。慣れるまで本当にかわいそうでした」
子どもの保育園の送り迎えの都合で、9時半から夕方5時までの短時間勤務を選択したが、冒頭で述べたとおり、自分のペースをつかむまでは苦難の毎日だったと言う。
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