ラミレスに学ぶ、“左遷”をバネにする方法 外国人初の2000本安打を達成した男の生き様

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ラミレスは自著でこう語っている。

「打席に入っても自分の考えがまとまらず、迷っていたり、何か雑念があったりすると、集中するのは難しい。だから、十分な準備が必要なんだ。自分は相手の先を読んでいる、この状況だったら何を投げてくるかわかっているぞ、というぐらいの余裕を持って打席に立てれば、自然と集中できるはず。これも野球に限らず、ビジネスや学校のテストでも同じだと思う」

試合前のスタジアムで、ラミレスが若手を指導している姿をよく目にする。自身がコーチから重要な教えを学んだからこそ、ラミレスはそれを若手に伝承しようとしているのだ。

「俺は若手に教えようと思っているわけではない。すごく潜在能力があっても、今の練習方法だったら伸びないと思った場合、『違うやり方をすれば、もっと伸びるんじゃない?』とアドバイスを送ることはある。どれだけ優れた潜在能力を持っていて、どれだけすばらしい選手になれるかを信じさせてあげるのが重要だと思う」

いちばん重要なのは、相手に敬意を表すること

来日当初は家と自動車のローンを返すため、1年だけ日本で稼ぐつもりだったものの、将来的に日本人に帰化し、日本球界で監督を務めたいと思うまでになった。ラミレスがそう変わったのは、いつまでもこんな気持ちを持ち続けているからだろう。

「自分はコーチに、どうやって相手に敬意を表するか、相手を尊敬する気持ちを持つことがいかに重要なのかを教わってきた。相手に敬意を表することは、人生で成功していくためにいちばん重要な気持ちだと思う。そこをしっかり勉強したことがいちばん大きかった」

異動させられた当初は“左遷”と感じても、後々に振り返ってみると、それが大きな転機になっていることもあるだろう。モチベーションを高く持つために大切なのは、ルーティンワークとして自分のやるべきことを貫き、周囲の仲間に敬意を払うことだ。

ラミレスの成功体験が、そう教えている。

中島 大輔 スポーツライター

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なかじま だいすけ / Daisuke Nakajima

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。2005年夏、セルティックに移籍した中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた「野球消滅」。「中南米野球はなぜ強いのか」(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。NewsPicksのスポーツ記事を担当。文春野球で西武の監督代行を務める。

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