日本の持続的成長には「3本目の矢」が不可欠

シュヴァイツアー仏政府日本担当特別代表が語る

――仏政府は同国の自動車大手プジョーシトロエン(PSA)による人員削減や、鉄鋼世界最大手アルスロール・ミタルの製鉄所閉鎖など、リストラ策を決めた企業の経営に口出ししました。政府による経営への介入は、仏企業の競争力低下だけでなく、外国企業の仏進出を躊躇させることにつながりませんか。

PSAは自動車業界でもかなり厳しいリストラ策を決めました。大工場閉鎖や1万2000人の人員削減などです。政府は単にこのリストラ策に伴う「犠牲者」を気に掛け、従業員の職の確保を助けようとしたのでしょう。

ルノーも競争力を維持するため、7500人以上の従業員を削減すると公表。同社の株主でもある仏政府はリストラ策を支持しました。政府は企業の競争力改善の必要性をしっかりと理解しています。こうしたやり方への反対意見はありません。ただ、人員削減の行方が最終的にどう落ち着くのか、政府が気を揉んでいるのも事実です。一方、アルスロール・ミタルの件は、PSAと違います。

政府の介入姿勢について特に話すことはありませんが、アルスロール・ミタルの問題で衝撃的だったのは、採算の合う工場の閉鎖を決めたことです。極めて厳しい状況に直面しているのであれば、工場を閉めるのも理解できます。だが、採算に乗った工場の閉鎖という策を理解するのは難しい。

ちなみに、私は過去13年間にわたり、フランスの大企業のトップを務めました。ボルボとアストラゼネカという2つの海外企業の取締役会議長もしました。両社はフランスに工場を構えていました。フランス国内の拠点では従業員をフランスのやり方に適用させる。そのために話し合いを重ねた。その結果、特に問題は起きませんでした。

――「ユーロ危機」は最悪期を過ぎたのでしょうか。

ユーロは他の通貨に対して、いわゆる「パリティ(等価)」を維持しています。過去に比べると、ユーロ高にも振れている。だから、「通貨危機」とは言えないと思います。

ユーロ圏の複数の国々が危機的な状況に直面したのは確かです。しかし、危機の中身は国によって様相が異なります。ギリシャ危機は財政政策のかじ取りの失敗によってもたらされたものです。スペインは不動産危機、アイルランドは金融危機に見舞われました。

ただ、最悪期は脱したと見ています。欧州に「時限爆弾」はありません。今後は持続的成長を可能にする方策の実行が求められています。

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