日本の持続的成長には「3本目の矢」が不可欠 シュヴァイツアー仏政府日本担当特別代表が語る

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Louis Schweitzer●フランスの元高級官僚。大臣やファビウス首相(現外相)時代の官房長など歴任。1992~2005年までルノー会長兼最高経営責任者(CEO)を務め、民営化や日産自動車との提携を実現させた。現在は起業家への融資・支援を行う「フランス・イニシアチブ」の会長。

一方、国と国との関係でいうと、フランスは日本・欧州連合(EU)間の経済連携協定(EPA)の話し合いに関与しています。大事なのは「非関税障壁」と呼ばれるすべてのものに反対することです。障壁の存在が邪魔して、日本での販売が難しい製品がある。だから、減らさなければならない。
ただ、その解体に向けた作業量は膨大です。障壁はあまりにも多いからです。日本企業にとって、障壁は頭痛の種です。同時に、日本へ進出していない海外企業も悩ませています。

また、文化面での交流で気になるのは、言語の問題です。フランスに来ている日本の学生は約2000人。これに対して、日本在住のフランス人学生は800人程度にとどまっています。自らの経験に則して言うと、研究分野での両国間の交流が足りないと、より緊密な関係構築の足かせになってしまいます。

日本の持続的成長維持には3本目の矢が不可欠

――1998年にはルノーの最高経営責任者(CEO)としてカルロス・ゴーン氏を日産自動車へ送り込みました。当時に比べると、日本経済に大きな変化はありますか。

その答えは「ウイ」でも「ノン」でもあります。ルノーが日産と提携した当時、日産は非常に厳しい状態でした。これに対して、トヨタ自動車やホンダは好調。日本の経済も持続的な成長局面にありました。それから約15年が経ち、日産の状況は改善しました。ところが、日本経済は成長の道筋を見い出せないままです。

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