日本の持続的成長には「3本目の矢」が不可欠 シュヴァイツアー仏政府日本担当特別代表が語る

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政府は経済の立て直しに着手しています。産業分野では競争力向上策を導入しました。研究開発を促そうと、すでに税制優遇措置も講じています。
 財政再建への取り組みもかつてないほど前向きです。税収を増やすとともに、歳出の削減を図り、5年間で財政均衡を実現する方針です。

財政収支はどうしても景気動向や構造的な赤字に左右されがちです。景気については、当初の想定ほど堅調ではありませんが、構造赤字に関しては、予想通りの早いテンポで改善が進んでいます。

――著名な俳優のジェラール・ドゥパルデュ氏がロシア国籍を取得するなど、富裕層の所得税率を75%とするオランド政権の増税策への反発が広がりました。

仏憲法制定評議会は高額所得者への75%課税を違憲とする判断を下しました。このため、今のところは適用されていません。私の知る限り、代替案が導入されるでしょう。75%課税には心理的な悪影響があり、時宜を得た策とはいえなかった。

ただ、税率の水準だけでフランスと他の国を比較するのは、必ずしも適当ではない面もあります。たとえば、フランスでは税金が家族手当の源泉です。子どもを持つすべての家庭の助けになっている。そのことが他の西欧諸国にはない人口動態面での活力をもたらしているのも事実です。

フランスでは年金支給にかかる費用に税金があてられる。他の多くの国では、勤労者が保険料を支払いますね。疾病時の保険もフランスは税でカバーされる。大学など教育費もほぼ全額が税金で賄われます。他の国では教育費の支払い負担が生じる。

ダボス会議が公表している世界競争力のランキングによれば、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェーなど、税金の高い国々が上位に名を連ねています。競争力の分析を各国間の税率の比較だけに単純化することはできませんが、仏政府も公共サービスや行政の効率改善を担保しながら、財政の均衡を図るという道を進もうとしています。

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