鶏むね肉はヘルシー&低価格の最強食材だ 唯一の難点「パサパサ食感」は解消できます

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スーパーの特売情報を配信する株式会社トクバイの代表取締役・沖本裕一郎氏は「2014年以降、牛や豚肉はブランドにより価格差が生まれ、価格幅が広がっている。逆に鶏むね肉は100g40~60円前後と牛や豚、鶏もも肉に比べて価格幅が安定している。さらに直近1年では100g30円台などのこれまで以上に低価格な商品も増えている」と指摘する。そういった意味でも、栄養価の高い庶民の味方として鶏むね肉が支持されているのであろう。

低価格で高タンパク・低脂肪でヘルシーな鶏むね肉。これらの条件から体型を気にする男女、家計をやりくりする主婦、食べ応えを求める男性や育ち盛りの子どもなど、幅広い層に好まれる最強食材と言えそうだ。

栄養面でも価格面でもパーフェクトな食材「鶏むね肉」だが、唯一の難点がある。それが食感だ。低脂肪ゆえ、脂が少なく水分も抜けやすいためパサパサとした食感になりがちなのだ。価格は安いが肉本来のジューシーさに欠けるため「家族から不評」と、実は悩みの声も多い。

クックパッドでも、鶏むね肉という言葉と一緒に検索されているのは、唐揚げなどの人気メニュー名を抑え「やわらかい」というキーワードである。作り手たちは鶏むね肉のパサつきを抑え、いかにやわらかい食感に仕上げるか頭を抱えていたのである。

このニーズに応えるべくクックパッド編集部は、鶏むね肉の食感を柔らかくする下ごしらえに関する記事を配信した。すると驚くべきことに、平均の10倍を超えるアクセスを記録し、年間の記事アクセスベスト10に入るほどの大ヒット記事となった。調理以前の下ごしらえを取りあげた記事で大ヒットを生んだ食材は鶏むね肉以外に前例はなく、多くの人の悩みに響いたことがうかがえた。

オススメの下ごしらえ攻略法

では一体どういう方法で料理の作り手たちは鶏むね肉の食感を攻略しているのだろうか。投稿されたクックパッドのレシピをのぞいてみると、その下ごしらえの幅広さには目を見張るものがあった。いくつか紹介したい。

切り方で柔らかくレシピ

調理や保存前に繊維を断ち切るように包丁を入れることで食感を変化させる方法。実際に唐揚げや蒸し鶏を作ってみたが、食感の違いは明らかだった。

クックパッドニュースの記事

水や塩砂糖水に漬けるレシピ1レシピ2

家にある簡単な材料で実践できるのがこの方法。調理前の鶏むね肉を水や、塩と砂糖を溶かした水に漬けておくだけで柔らかくなるというのだ。宮城大学食産業学部の石川准教授は「水に漬け込むことで、肉内部に水分を蓄える保水力が高まり、その保水力が食感に影響する」と分析する。

さらに塩を加えた水であれば塩が筋肉線維の構造を破壊し、肉内部に浸透、タンパク質と作用し、より細胞に水が保持されやすくなると言う。通常なら加熱により20%程度の水分が失われるところだが、事前に水分を保持した肉は水分を保ったまま焼き上がるため、加熱してもジューシーに仕上がるメカニズムになっているのだ。塩水だけだと肉自体が塩辛くなってしまうため、塩水に砂糖や果汁などの甘さと酸味を加えることで、塩辛さを抑えながら肉の食感を柔らかくすることが可能になるというわけである。

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