「夜の編集作業中、行き詰まったら一度家に帰って子どもの寝かしつけだけして、終電でまた会社に戻り、朝まで編集作業をやって帰宅し、2~3時間寝て、また会社に行くなんてことは、しょっちゅうでした。こうすると、娘としては、寝る前と起きたとき、どちらも母親がそばにいるので精神的に安定するんですね。片や私は、仕事がちゃんと終わるかヒヤヒヤでしたけど(笑)」
娘さんが寝ている間、いかに仕事できるかが勝負だった、と言う。なんという、プレッシャーだろう。
「私は、家族の協力はもちろん、社員という立場で恵まれていることもあった。だからこそ、少しくらい無理をしても当然だと思ってましたね。ただ、復帰の際に上司と約束した『後に続く人のためにも3年は身体を壊さないように働く」ということだけは心がけていました」
ピンチを救った、上司や同僚の理解
復帰後、ニュースを担当していた時期には、オンエア直前に子どもが病気になり、大慌てしたこともある。
「娘が肺炎になりかけ、入院直前までいったことがありました。『私がこんなに働いているから娘が風邪をこじらせてしまったのだ』と心が折れかけ、どうしたらいいのか、半泣きで上司に電話しました。
そうしたら、『ウチの息子も肺炎になったことがあるけど、この年頃の子にはよくあることだから、お前のせいじゃない。明日のオンエアは俺たちが何とかするから、来なくていい』と言ってくれて。結局、スタッフの皆が助けてくれ、無事、番組はオンエアされました。このときも、私は周囲にどれだけ助けられているのかと思いましたね」
制度がどんなに整っていても、同僚の理解がないことには、働き続けるのは難しい。フリーランス、契約社員、社員と、さまざまな立場の人が集まる職場だが、復帰前に予想していた以上に、同僚の理解があったと藤村さんは振り返る。
”母モノ企画”の専門家に
子供の病気で休まねばならないといった制約も生まれる一方で、娘さんの誕生は、藤村さんの仕事に広がりをもたらしてもくれた。
ご存じのように、「とくダネ!」の視聴者のメインターゲットは子どもを持つ主婦だ。だから、藤村さんは「母親の視点」を、企画提案や制作に活かすことができる。
気がつけば、藤村さんは「母モノ」企画の専門家になっていた。
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