フジテレビの母が、現場職を続けられた理由 「がむしゃらに働く」を支える、”味方”を増やすには

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企画により、スタッフの面々は入れ替わる。だから、「いつものメンツ」で「いつもの仕事」をなあなあでこなす、というわけにはいかない。

しかも、育休復帰直後は「とくダネ!」前半部分のニュースの担当だったため、週1日は泊まりの24時間勤務だったというから驚く。

聞けば聞くほど、「ママ・ディレクター」が少ない理由が、そして、藤村さんが初めて妊娠を会社に報告したとき、上司が「みんな出産前は戻りたいって言うけれど、結局は戻ってきてくれないからね」と言った理由が、よくわかる。

いったい、なぜ、藤村さんは、育休取得後、ディレクター職に復帰したのか?どうして、激務と育児の両立ができるのか?

大したキャリアがないからこそ、やる価値がある

藤村さんは、入社3年目の2007年に、大手メーカー勤務の高校の同級生と結婚。その翌年には、長女が誕生した。そして、7カ月後にはディレクターとして早々に復帰している。

「もちろん、時短勤務制度を活用して、番組作りのリサーチを担当する、ゲストのアテンドなどを行うアシスタント・プロデューサーになる選択肢もあった。希望すれば、定時に帰りやすい総務など管理部門に異動することもできたと思う。でも私は、ディレクター以外の選択肢は1ミリも考えられませんでした」

難関の入社試験を突破し、運よく第1希望の情報制作局に配属され、AD(アシスタント・ディレクター)から1年でディレクターに昇進することができたのだ。子どもができたからといって、キャリアをあきらめるのは、つらすぎる。

幸い、夫は残業が少ない職場の勤務だ。しかも、家事能力は藤村さん以上に高い。さらに、自宅の比較的近くに実母と義母が暮らすので、育児への協力も期待できる。

「上司が、『ディレクターが産後復帰した前例がないなら、お前が作ればいいじゃん』と背中を押してくれたとき、『確かに、私は親に育児の協力をしてもらえる恵まれた境遇にいる。そんな私が前例にならなかったら、誰も前例は作れない』と思いました。

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