それでも中国で儲かっている企業とは? アセアンは元気でも、中国含めBRICSの株式はイマイチ

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次に株式市場に目を向けてみよう。企業規模は大きいが、質は規模の拡大スピードほどには改善していないというのが中国企業の現状である。特に国有企業で顕著だ。2012年フォーチュンが選ぶ世界のトップ500社に中国企業73社がランクインし、日本の68社を抜いて世界第2位という記事があったが、そのほとんどは国有企業であり、グローバル企業ではない。

要は量から質への転換が遅れており、規模は巨大で無視できないが、質では評価できないということになる。株式投資は成長力、競争力、技術力、CSR、環境対策といった質を重視しているので、いくら図体が大きくて、収益を上げていたとしても株価はなかなか上昇しないということになる。鉄鋼の世界では中国が粗鋼生産量で世界No.1なので、中国企業の動向は業界全体の関心事であるが、株価は右肩上がりということはなく、景気循環銘柄として株価は推移する。

実際に2005年から7年間中国に住んでみて感じるのは、今の中国の商業の発展段階は、日本でいえば昭和40年から50年代に相当し、株式市場としてはこの時期第3次産業、サービス業が勃興してくる時期なのであるが、中国ではリーマンショック以降、国有企業がどんどん膨張し、民間企業がなかなか発展していない(国進民退と呼ばれる)。

純民間企業が活躍しているのは、国有企業とバッティングしない分野ばかり(たとえばネット関連)で、競合すれば潰されるか、吸収されてしまう。民間企業といっても、地方政府の庇護を受け、一心同体のような企業も多数存在する。

中国政府は投資主導から消費主導への経済構造転換を急いでいるが、規制緩和を行い、民間企業を育て、競争原理を持ち込まないとサービス業は発展しないわけで、A株には美容室チェーン店とか、足裏マッサージチェーンとか面白いサービス業も少しずつ育ってきてはいるが、香港上場の中国企業は時価総額ベースではほとんどが国有企業で、恒安(ハンアン)のような中国の衛生用品市場で活躍している銘柄も、経営者は香港人か台湾人の場合が多い。

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