欧米の大規模な金融緩和と米景気回復から世界同時株高の状況となっている。日米欧の株式市場は堅調に推移し、アセアン株式市場も元気だ。
しかし期待の星だったBRICSの株式市場は南アフリカを除いて調整している。BRICSという言葉が生まれた2000年代初頭、高度成長への期待感からBRICS諸国には投資マネーが流入。金融危機直前に株価は最高値をつけ、日本でも個人投資家に人気となった。しかし投資マネーは、相対的にリスクが高い割に投資リターンを生みださなくなりつつあるBRICSから日米欧、アセアンにシフト、さらにはフロンティア市場と呼ばれるアルゼンチン、アフリカ諸国等に新たな投資機会を見出そうとしている。なぜBRICSの株式市場は低迷しているのであろうか?
負の部分が露呈したBRICS
中国は目覚ましい経済成長を遂げたが、ここにきて成長の負の部分が一気に噴出してきた。中進国の罠に陥り、環境問題、格差問題等難問に直面している。ブラジルはインフレと内需の低迷に直面。インドも政局不安、ルピー安等から2012年4QのGDPが約4年ぶりの低水準となり、ロシアは資源輸出一本足打法がシェール革命の台頭で転換を迫られている。投資家はつねに新しい市場、利益・付加価値を生み出す市場を虎視眈々と狙っている。
おカネが向かっているのは、新興国でもより高い経済成長が期待できる、フィリピン、インドネシア、タイ、メキシコなどである。日本でもアセアン関連の投資信託が人気となっている。フィリピンではソブリン債が投資適格に引き上げられ、インドネシアでは内需が好調、タイ、メキシコも成長力が高く、ファンダメンタルズの良好なこうした国々に投資資金が向かっている。
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