会議中の落書きぐらいしか絵を描く機会のない筆者は、久しぶりのお絵描きに興奮した。長い間、忘れていた楽しさだ。
同行した人の作品を見るのもまた一興。日頃付き合っている人でも、絵がうまいのか下手なのか、どんな作風なのかまでは知らないことが多い。意外な才能に尊敬の念を抱くかもしれないし、下手なら下手でいっしょに笑える。ここなら相手との距離をぐっと縮められそうだ。
さらに展覧会の終盤に用意されている『作業机』でも絵が描ける。真ん中に「あ」の字がプリントされた白い紙をもらい、絵を描き足したり、色を塗ったりして仕上げる。
発色のきれいなファーバーカステルの色鉛筆やカラーペンが用意されている。大人も子供も一心不乱に机に向かっているのが印象的。「みなさん好き勝手に描いていますので、ぜひチャレンジしてほしい」と佐藤さんは言う。
完成したら会場のボックスに投稿しよう。おもしろい作品は会場に展示される。描き終えたあとに人の展示作品を見ると、頭のやわらかさ、発想の豊かさに驚かされる。
「あ」をうどんの具に見立てる人もいれば、木の年輪の中に紛れ込ませる人もいる。同じ「あ」の字が印刷された紙から、まるで違う絵が生まれていく。
佐藤さんは、人はデザインと無縁ではいられないと語る。「朝起きて目覚まし時計を止める、メガネをかけるというように、われわれは毎日いろんなデザインに接して生きています。
サラリーマンの仕事でも、文章を書くときの書体、改行の位置、どの文字を大きくすると伝えたいことが明解に伝わるかなど、無意識のうちにデザインを使いこなしているんです」
デザインマインドは誰もが持っている。そこにちょっと意識を向けて、デザインの視点を活用すれば、より快適になったり、ストレスなく仕事が進められたりする。
「展覧会を楽しむ中で、何か気づきがあれば」と佐藤さん。遊びに行く感覚で、誰かを誘って行ってみたい展覧会だ。
(会場風景 撮影:吉村昌也)
2013年2月8日~6月2日
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6
TEL 03-3475-2121
10:30~20:00(入場は19:30まで)
火曜休み(4月30日は開館)
一般1000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
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