送別会での部下の言葉
そして、その販売会社でも実績を残して、ふたたびスカウトを受けて会社を辞めることになったときのことです。その送別会の席で、その営業所長がこう言ってくれたのです。
「林社長、あなたは今、この会社を去っていきます。しかし、あなたは心の中に人生の羅針盤を持っていらっしゃる。その羅針盤が示すとおりにビジネス人生を歩んでいらっしゃいます。わたしも、あなたと同じように、心に羅針盤を持って自分のビジネス人生を歩んでいけるような人間になりたいと思っています。長い間のお教えをありがとうございました」と。
その営業所長は、長い間お世話になっていた前社長が、わたしに追いやられてしまったという思いをガマンしながら仕事をしていた面もあったと思います。でも、そんな思いを超えて、このようにすばらしいはなむけの言葉をかけてくれました。だからこそ、上司と部下の関係はとてもすばらしいのです。
それから何年か経った時のことです。その会社に車の点検に持っていったら、その営業所長が工場長をやっていました。そして、満面の笑顔で駆け寄ってきてくれて、「社長が教えてくれた人に向き合うというマネジメントを実践しています。メカニックのところを回ってこちらから声をかけていたら、工場のサービスの売り上げがどんどん増えてきました」と言ってくれたのです。
上司と部下の関係は、会っているときだけのものではありません。その先で部下が目覚めることもあるのです。そういう意味でも、その関係は永遠につづくものなのです。
わたしはBMW東京、フォルクスワーゲン東京、日産自動車、日産自動車販売、ダイエー、横浜市とさまざまな組織でマネジメントの仕事をしてきました。しかし、その手法はどんな組織でも同じです。
市長に就任する際、「おもてなしの行政サービス」というメッセージを掲げました。行政は市民から税金をお預かりして、サービスを行います。だから、市民の皆様はお客様だと思って、おもてなしの心でサービスすることが大事なのです。
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