区役所にいらっしゃったときは「ありがとうございます」。お帰りになるときは笑顔で「お気をつけてお帰りください」とお声がけすることを徹底しました。すると、窓口サービスの満足度調査で70%いかなかったものが、昨年11月末の調査では、「満足」、「やや満足」を合わせて、96.6%まで向上しました。
それまでの役所は上から目線でした。しかし今は、こちらから何かお困りではありませんかとお声がけする時代なのです。
待機児童ゼロに導いたマネジメント
実は、横浜市は保育所の待機児童が日本一多い市でした。それが今年の4月には待機児童がゼロになるところまできています。これも一人ひとりと向き合うマネジメントによって成し遂げられたものです。
まず現場の一線で働いている人をあつめてプロジェクトチームをつくり、わたしがリーダーになりました。その中で、なぜ横浜市で待機児童が多いのかを徹底的にヒアリングしたのです。
たとえば、平成20年に本市が実施したアンケートでは、家で子育てをしている主婦の方の7割の人が「働きたい」と答えました。(それでは、なぜ働かないか。それは子どもの預け先がないからです。)そして、働きたいという主婦の9割の方はフルタイムではなく、1日4時間という短時間であったり、週に3日というような限定的な働き方を選びたいと考えていることがわかりました。しかし、週3日では保育所の入所要件に満たないため、週4日以上の仕事を探すという話をプロジェクトのヒアリングの中で聞きました。
子育てもしたいからフルタイムで働くことは難しいと考える人が多かったのです。それであれば、通常の認可保育園にフルタイムで預ける必要はありません。ですから、認可保育園だけでなく、多様な受け入れ先を増やすことで対応しようと考えたのです。
「預かり保育」で多くの児童受け入れ
たとえば、幼稚園で週3日間だけ預かる「預かり保育幼稚園」や、市の認定をうけた「横浜保育室」を増やしました。国の保育園の認可基準ですと、保育園をつくるには園庭がなくてはいけません。しかし、たとえば地価の高いみなとみらい地区で園庭をつくるのはなかなか難しい。
そこで、近くに公園があれば、マンションの一室でも設置できるようにしたのが「横浜保育室」です。1施設あたりで預かる人数は少ないかもしれませんが、数を増やせば多くの児童を受け入れることができます。
また、「家庭的保育室」もあります。NPO法人が自宅で6人から9人くらいの児童を預かる場をつくったのです。
さらに、鉄道事業者にお願いして線路の高架下に防音装置をつけて場所を確保したり、大学構内や、日産自動車、JFEエンジニアリングといった民間企業にも社内に保育園をつくってもらったりしました。
横浜市内だけでなく、北海道、九州などで手広く保育園を経営している企業にも声をかけるなど、民間事業者の参入も呼び込みました。
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