元ダイエー会長、横浜市の待機児童ゼロに挑む 横浜市長 林文子氏に聞く(下)

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切れ目ない子育て支援が目標

利用する側のニーズを聞き出すために、保育コンシェルジュを各区役所において、一人ひとりのお母さんの声を集めました。今までは申請してだめだったらそれで終わりだったのですが、そこからさらにどのようなサービスを求めているのか、どんな働き方をしたいと考えているのかを詳しく聞いて、それに対応できるようにしたのです。

もちろん、専業主婦の方に対するケアもやっています。子育てをしている専業主婦の方が、仕事をしていないことに罪悪感をもってしまうことがあります。しかし、専業で子育てをすることが悪いわけはないわけですから、働かずに子育てをする方が孤独を感じないよう、地域子育て支援拠点をつくって、専業主婦の方が子どもを遊ばせながら情報交換できる場を充実させたのです。

このように、切れ目なく子育てを支援することを目指しています。今後は、小学校入学以降、下校後に児童をお預かりする学童保育についてもより充実させていかなくてはいけないと考えています。

『不思議なほど仕事がうまくいく「もう一言」の極意』(草思社刊)という、マネジメントについての書籍も出版している林氏。部下の行動にいつも関心を持ち、いいところがあればほめる。そして、ちょっとした一言でも声をかける。そんな人間くさいマネジャーこそが、部下にとって最良の上司となるという。

初めてマネジャーになったばかりの方には、緊張感が大きいと思います。周囲からも期待されていることでしょう。そういうチャンスを与えられたということは、とても素敵なことなのです。

しかし、特別に優れたマネジャーになるんだと気負いすぎないでほしいのです。まず最初に相手のいいところをほめる。自分の思い、感動を伝える。そういうことをしていけば、部下はあなたに心を開いてくれるでしょう。

管理職だからこうあらねばならないということではないのです。誰だって人間くさいマネジャーが好きなのですから。

わたしは『不思議なほど仕事がうまくいく「もう一言」の極意』という本も出版しましたが、なんでもいいから部下の行動に関心をもって、一言声をかけてあげることをおすすめしています。休み明けに楽しそうにしていたら、「どこか行ったの?春になったから気持ちがよかったでしょうね」と、必ず声をかけることです。

新任マネジャーへのメッセージ

成長する部下の素質としては、素直であることが大事だと考えています。でも、これは人間ですから相性もあります。だから、マネジャーになったばかりの若い人にぜひこれだけは言っておきたいのですが、先入観を持って部下をみないようにしてほしいのです。できがいいとか、悪いとか、品定めしてはだめなのです。

わたしのビジネス人生が豊かになってきたのも、マネジャーになってからです。わたし一人だったら、年間100台しか車を売ることはできなかったとしても、多くの部下と共に仕事をすることで、それが何倍にもなります。だからこそ、マネジャーになった皆さまに心からおめでとうとお伝えしたいと思います。

皆さん一人ひとりが、いいマネジャーになることを心から望んでいます。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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