北澤:金融業界は、昔からテクノロジーは導入していました。株価を伝書鳩で伝えていた時代から、テレックスになって、ブルームバーグにと進化してきた。フリークエンシートレーディングなどは軍事技術の応用だったりするのですが、そのほとんどは資本力があって専門家が使うために手数料を払って行うビジネスです。その時に、必ず個人や経済的弱者が取り残されている構図がありました。
ヤフーからグーグルがシェアを奪ったのは、ユーザーが選んでいった結果です。書店に行く面倒よりもアマゾンを選ぶというのも一緒です。単純な競争でユーザーが選ぶ、ユーザーファーストの企業が生き残ることが、金融サービスではできなかった。そこにテクノロジーやウェブサービスを乗せることで一部の方しか享受できなかったものを一般化してしまおうというのが基本的なフィンテックの発想です。
塩野:THEOで言うと、銀行や証券の担当者が資産運用を提案していたのを、ロボットがやるようになるということですか。
ロボットが運用を行っている
北澤:我々の運用エンジンの開発を全面監修しているのはGPIFの運用委員もされている加藤康之・京大院特定教授で、日本でも世界でも「失くしてはいけないおカネ」の権威です。運用モデルを作り上げているのも全米屈指の数学の天才のアメリカ人がやっていたり、UBSでクオンツのデリバティブの評価方法を開発して、それが世界的に採用された経歴を持っているような人間が複雑なアルゴリズムを駆使して運用チームを作っています。
それは一般向けサービスではそもそもなくて、機関投資家だけが享受できていたようなプロダクトです。
塩野:フィンテックにしても、お金のデザインにしても普通の人からするとなんだか難しいイメージを持たれてしまうように思います。そこは、どうやって理解してもらうのですか?
たとえばパッシブ運用であれば、マーケットのインデックスに勝っていれば、勝っていますよとプロだと分かりますが、一般の人だと「減っているじゃない!」という問いが根本的にあると思うのですが、それはどうやって克服しますか。
北澤:そこは金融畑の人間だけではダメで、両輪が必要だと思っています。弊社にはマーケティングとかプロダクト開発の人間も、ウェブやテクノロジーの人間がいます。ウェブサービスの視点でユーザビリティがどこにあるかを大切にしています。
塩野:ユーザビリティ。ユーザーインターフェースや、ユーザーエクスペリエンスの視点を大事に考えていると。
北澤:はい。サービス開始に当たって1年ほど市場調査をしました。資産運用はしたいけれど、経験がない人の距離感や不信感を払拭すればいいのではないかと考えました。リテラシーよりも、資産運用したい人がすでにいるので、そこにどう入ってきてもらうかという視点でブランディングを行いました。
ですから、社名にしてもTHEOというサービス名にしても、運用会社だと思われないですし、キャンペーンも今までの資産運用会社と違うところを目指しています。100万円からだとちょっと多いかなと思うところを、「10万円だったら」というエントリーから入っていただきたいのです。
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