塩野:そこからすぐにリーマンショックですね。
北澤:まさにホラー映画を体験するかのようでした。うしろからゾンビに追いかけられる感じでしたね。MUFGが9億ドルを出資し、モルガンを救済してくれました。このディールはうまくいって、外資と日系のジョイントベンチャーの数少ない成功例だと思います。
なぜ転職したのか
塩野:そんな、グローバルな業務をやっていた北澤さんが、どうして「お金のデザイン」に転職されたんでしょう。
北澤:対消費者というビジネスは初めてですし、基本的に専門職でマネジメントをやったことはありませんでした。
きっかけはファウンダーである谷家衛との出会いです。彼はエンジェル投資家であり、伝説のトレーダーであり、フィランソロピーの活動もやっていました。軽井沢の国際的な全寮制の高校「ISAK」や、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」というNGO人権団体の東京オフィスの立ち上げにも尽力した人です。そのチャリティパーティに顔を出していた時に紹介を受けました。2014年のことです。
「事務所に遊びにおいでよ」と言われ、内幸町のオフィスで2時間ほど話しをしました。「モルガン・スタンレーにあと何年居るの?」と聞かれて、「おカネを貯めて10年経ったら、世のため人のために働きたい」と答えました。すると、おカネにはならないけれど、社会のためになる仕事があるんだよと。それが「お金のデザイン」のコンセプトでした。
塩野:思ってもみなかったところから球が来ましたね。
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