トランプがついに仕掛ける「仁義なき戦い」 支持率低下を受け、誹謗中傷のプロを参謀に
米共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は世論調査での不調を受け、選挙陣営の幹部を刷新した。保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」のスティーブン・バノン会長を選挙対策本部の最高責任者(CEO)として迎え入れたのだ。トランプ氏に中道寄りの方針をとるよう薦めていた共和党の経験豊富な選挙参謀ポール・マナフォート氏は、19日朝に退任した。
イラクで戦死したイスラム教徒の米兵士の母親を中傷したことで、世論調査でのトランプ氏の支持率は7月の共和党大会以降急落した。トランプ氏はまた、オバマ大統領と民主党大統領候補ヒラリー・クリントン氏がイスラム国(IS)の共同創設者である、などと発言した。
しかし、トランプ氏は自身の支持率低下の責任は、方針転換や施政方針演説に向けた努力、より大統領らしい振る舞いをするように薦めたマナフォート氏らにあると考えているようだ。
トランプ氏はウィスコンシン・ラジオに、「私は私だ」「私自身を変えたくはないし、方針転換はしたくない。自分らしくありたいという意味だ」と述べた。
ワシントン・ポスト紙のロバート・コスタ記者はこの変化を、「この不動産界の大物は自分の考えに基づいてこの選挙を戦おうと考えていることを、従来になく明確に示唆している」と評した。
「米国で最も危険な選挙参謀」
すでに過去に類を見ないほど見苦しい選挙戦であるにもかかわらず、さらに手加減無しの戦いが始まった。トランプ氏がバノン氏を選んだことは、彼の選挙組織がこれからスラム街でのけんかのように、がむしゃらに戦うことを示唆している。
ブルームバーグ・ポリティックスに、「米国で最も危険な選挙参謀」と評されたバノン氏は、ゴールドマン・サックスの勤務経験があり、現在は大衆主義者で右翼のメディア王だ。バノン氏は大統領選の運営経験は無いが、攻撃的な報道に関しては第一人者である。