ドナルド・トランプの奇妙な髪型については、多くのことが書かれてきた。染めてあって、ふわふわしたバーコードヘアタイプで、大統領候補というよりはむしろ、安っぽいナイトクラブのマネージャーを連想させる。本当にこれ以上話すことがあるのかって? 実のところ、政治における髪の問題は、見かけほどつまらなくはないかもしれない。
政治家、特に右派のポピュリストに、変わったヘアスタイルを見せつける政治家が多いことは、注目に値する。イタリアのベルルスコーニ元首相は、2カ所に移植した毛髪でカバーできない部分を塗りつぶすのに、黒い鉛筆を使っていた。オランダの扇動政治家ヘルト・ウィルダースは、モーツァルトのようにふっくらさせた髪型をプラチナブロンドに染めている。
「都会風のエリートとは違う」がポイント
英国の欧州連合(EU)離脱のデマゴーグで現外相のボリス・ジョンソンは、麦わら色のぼさぼさの髪を、常にわざとだらしない状態に保っておくよう気をつけている。これらの政治家はいずれも、洗練された都会風のエリートに対する怒りと恨みに満ちた有権者たちに高く評価されている。
それに、現代ヨーロッパポピュリズムの父で、今は亡きオランダの政治家ピム・フォルタインには、まったく髪がなかった。だが彼の、きれいに剃られた輝く頭頂部は、主流派の政治家のきちんとした白髪交じりの髪型の中で、ジョンソンのブロンドの髪やトランプの金色のバーコードヘアと同じくらい目立っていた (ところで、ベルルスコーニを除くと、これらの男性は全員ブロンドか、ブロンドを装っている。黒い髪は、ポピュリストの一団にはあまり似合わないようだ)。
もちろん、目立つことは大切だ。変な髪型や剃った頭なら、人気のあるリーダーはすぐにその人とわかる。このタイプのブランド戦略は、独裁者によくある。ヒトラーの視覚的イメージは、べたべたした逆毛と歯ブラシのような口ひげにまとめられるかもしれない。
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