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2005〜2014年の間、先進25カ国では約3分の2の世帯で実質所得が横ばいか下落傾向にあった。所得を横ばいに維持した国も、税制優遇など政府の積極的な財政支援が下支えした。
米国では11月の大統領選に向けて所得格差とその配分が争点となっており、このような実態は大きな示唆を含んでいる。
米国は社会保障の多くを雇用対策に充てようとしている、世界でもまれな国だ。欧州の社会保障費は平均でGDP(国内総生産)の23%だが、米国では16%にすぎない。
カリフォルニア州での成功例
ただし米国では2010年に共和党カリフォルニア支部のピート・ウェバー氏が設立した「フレズノ・ブリッジ・アカデミー」のように、低所得世帯向けに職業訓練プログラムを提供して実績を上げている機関も少なくない。
同アカデミーのプログラムはカリフォルニア州の貧困地域で行われており、これまで1200世帯を支援し、今後2年間でさらに2300世帯へのサービス提供を予定している。すでにプログラムを受けた世帯の約8割で家族が新たな職に就いたり、所得を向上させるなどの成果を上げている。
この事業は、「補助的栄養支援プログラム(SNAP、旧フードスタンプ)」に基づいて助成を受けている。1ドルの出資当たり22ドルの利益を創出、16ドルが支援対象世帯に、そして5ドルが納税者へと還元されている。
ウェバー氏は同プログラムにはまだ可能性があると考えており、2025年までにカリフォルニア州の100万世帯を貧困から救い出そうと計画している。