「新興国=生産国」という考え方はもう古い

労働コストで製造拠点は決められない

経済のグローバル化の行方は? (Photo: stnazkul / PIXTA)

原文はこちら

グローバル化の時代が新たな局面に入りつつある。商品やマネーに加え、情報が軽々と国境を越えていく。こうした潮流は製造現場にどんな変化をもたらすのだろうか。先進国と新興国のどちらの製造業に有利に働くのだろうか。

過去数十年にわたり、新興国が経済成長を果たすには、先進国に比べて低コストの製造業の活用が有効な手段だった。1985年に世界のGDP(国内総生産)の13・8%(約2兆ドル)だった物品の国際貿易は、2007年には同26・6%(約16兆ドル)にまで伸長。特に新興国が先進国からの受託製造により貿易のシェアを高め、2014年には世界中の物品の貿易で過半を占めるに至った。

しかし、ここに来て物品の貿易の成長は、先進国の需要減退や商品相場の急落が影響し頭打ちとなっている。停滞の背景には別の構造的な要因もある。多くの企業がサプライチェーンを簡素化し、製造の自動化を進めている。その結果、これまでと違い、製造拠点が労働コストだけで決まらなくなっているのだ。

製造拠点を決定づける新たな要因とは

今や製造拠点を決めるのは主に人材や社会インフラ、エネルギー費用などだ。今後3Dプリンタなどの技術が進化すれば、製造拠点の決定にさらなる影響を与えそうだ。

こうした潮流から、物品の国際貿易がピークアウトしてしまうと、アジアや中南米、アフリカの新興国が次の「世界の工場」として発展するのは困難だとの見方も生じる。

しかし、その考えは早計だ。目下、物品の貿易自体は行き詰まっているが、デジタル情報のやり取りは加速度的に広がっているからだ。

次ページデジタル化は既存の秩序を押し流す
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 令和の新教養
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
好業績の裏で検査不正<br>スズキ「鈴木修経営」の光と影

5月10日の決算会見に登壇し完成検査の不正を詫びたスズキの鈴木修会長。不正は組織的・構造的な問題か、現場への目配り不足によるのか。長年にわたるカリスマ経営の副作用を指摘せざるをえない同社のガバナンス体制を詳解する。