欧米型・カジノ資本主義の限界が見えてきた

みんなを幸せにする「公益資本主義」のすすめ

ウォール街流資本主義の限界を語る(写真:NewYorker / PIXTA)
コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コード、ROE経営、社外取締役の増員など、欧米型の株主資本主義に倣って資本市場の改革を推し進めてきたアベノミクスは、果たして私たちの生活を幸せにしてくれているのか?
このテーマを明らかにするために、『みんなを幸せにする資本主義』を上梓したフォーバル会長の大久保秀夫氏がキーパーソンたちと対談し、これからの世界に必要な資本主義はどうあるべきかについて考えていく。その1回目は、大久保氏の盟友で、アライアンス・フォーラム財団代表として株主至上主義に警鐘を鳴らし、公益資本主義の実現を提唱している原丈人氏。株主資本主義のもたらす弊害とあるべき資本主義の姿について対談してもらった。

米国の株主資本主義の現実

経営者が真剣に考えるべき、国民を幸福にする資本主義について提言する

大久保:原さんが提唱している公益資本主義こそ世界に広めるべきだと思い、2014年に公益資本主義推進協議会を立ち上げました。原さんには最高顧問に就任していただき、私は会長を務めております。

今回、東洋経済新報社から出版した『みんなを幸せにする資本主義』では、金融資本主義の対抗軸として公益資本主義を取り上げ、その解説を試みました。原さんが以前から指摘されているように、短期利益を追求する金融資本主義の問題点は、四半期決算の開示、株価を上げるためだけの自社株買い、上場会社におけるストックオプション、時価会計とさまざまです。

今日はこの対談を通して、金融資本主義の弊害を再認識すると共に、実体経済に即した資本主義のあり方について話したいと思っています。

原さんが、公益資本主義を提唱するようになったきっかけを聞かせてください。

:私は1981年に米国で起業し、80年代から90年代にかけては、シリコンバレーを中心にベンチャーキャピタリストとして事業を創る仕事をしてきました。ベンチャーキャピタルは、今や金融業として、いかに短期で投資資金を回収するかが使命と思われがちですが、私は本来、何もないところから技術をベースに世の中に貢献する事業を創ることが本来の使命だと思っています。縁の下の力持ちであり、研究開発を伴う製造業と言ったほうがよいかもしれません。

私は米国、イギリス、イスラエルといった欧米企業の創業と経営に携わってきて、ウォールストリートが正しいと考える資本主義について違和感を持つようになりました。日本は、何でも二番煎じ、欧米のマネばかりするので、株主だけを重視するような資本主義の考え方が日本に持ち込まれるのではないかと、違和感が危機感に変わっていきました。日本に株主資本主義の考え方が持ち込まれたら、社会に有用な企業をすべて崩壊に導いてしまうのではないか。今こそ日本から世界を変えていくべきであると声を上げるとともに、行動に移すことにしたのです。21世紀には、ウォールストリート流の株主資本主義では、世界経済は成長しても大多数の人間は豊かになれません。

大久保:欧米企業の経営者の正しいとする資本主義とは、具体的にはどういうことですか。

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