クリントン氏が嫌う「北欧型福祉」の可能性

柔軟な雇用調整と失業対策は米国でも有用だ

クリントン氏が北欧諸国から学べることとは? (写真: ロイター/Kevin Lamarque)

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7月末、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催された民主党全国大会では政策綱領が採択され、ヒラリー・クリントン前国務長官が大統領候補に正式に指名された。綱領では安全保障や通商政策、社会保障政策などのビジョンが示された。

社会保障政策は大統領選に向けた大きな争点となっている。クリントン氏のライバルだった民主党のバーニー・サンダース上院議員や共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏らは共に、クリントン氏の政策を追及してきた。

米国は「デンマークではない」が...

昨年10月、民主党予備選の討論会で、サンダース氏はデンマークの社会福祉政策を擁護した。その際、クリントン氏は「われわれはデンマークではない」と彼の主張を一蹴した。確かに米国はデンマークではないかもしれない。だが北欧の福祉国家から米国が何を学べるかを問うたサンダース氏は間違っていない。

 北欧諸国は国民に対し、健康で幸せな生活を送るための十分な所得を得られる雇用機会を提供している。OECD(経済協力開発機構)加盟国の雇用に関するランキングでは、世界の上位7カ国が福祉国家という結果が出ている。

そのうち4カ国がアイスランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国である(残り3カ国はスイス、ニュージーランド、ドイツ)。またOECD加盟国のうち、女性の就労率が7割を超えているのは、前述の北欧4カ国とスイスを合わせた、わずか5カ国にすぎない。

北欧諸国は低所得者の雇用機会拡大に向けた施策を積極的に導入してきた。たとえば国民に対する無償教育の提供や、年齢によらない技能訓練機会の創設などである。失業者に対しても生活を破綻させないよう社会保障政策を充実させ、育児や高齢者の介護に追われる世帯向けにも、仕事との両立がしやすい制度を設けた。

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