ルペンやトランプの主張は、間違っている グローバル化と愛国主義は矛盾しない

✎ 1〜 ✎ 181 ✎ 182 ✎ 183 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:Eric Gaillard/ロイター)

原文はこちら

政治的に新たな断層がグローバル主義者と愛国者との間にある、とフランスの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首は主張する。これは英国のユーロ懐疑論者や、米国の共和党大統領候補ドナルド・トランプの主張に似ている。しかし、それは危険であると同時に誤りである。

12月13日実施されたフランス地方選挙の第2回最終投票の結果からすればそれは、少なくとも同国の有権者が、完全に拒否した主張ということにもなる。有権者の73%は国民戦線のライバルに票を投じ、国民戦線は一勝もできなかった。

ルペンは、主要政党が彼女を寄ってたかって攻撃していると非難し、主要政党が手を組んだことは民主主義の否定だと述べた。彼女の主張はもちろん典型的な負け惜しみにすぎない。 2段階の投票制度は、政党とその支持者にコンセンサスを探り、パートナーシップを形成させるためのものだ。国民戦線は、共同戦線に勝つ方法を見つけない限り、選挙の突破口を開くことはできないだろう(同じことがトランプについても言えるだろう)。

非常に危険な主張

言うまでもないが、国民戦線に投票した者だけが真の愛国者だというルペンの主張は、却下されるべきものだ。彼女は、他の政党の支持者を引き付ける可能性がある強力なメッセージに的を絞って発言してきた。

こうしたナショナリストの大言壮語の基礎となっている前提は、開放することよりも閉鎖することが、より国益にかなうというものだが、これは非常に危険だ。

開放は反逆であり閉鎖は愛国的だ、との信念は、先進諸国の1945年以降の政治や政策の枠組全体を否定するものだ。それは、厄介な貿易制限を課して少数民族を迫害・追放した両大戦間期に時計の針を戻そうとする試みだ。建国以来、最も制限の厳しい移民法を制定してきた米国についても、同じことが言える。

次ページグローバル化は拒絶できない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事