パリ同時テロに潜む「失われた40年」の十字架 なぜフランスでここまで凶行が頻発するのか
11月13日の金曜日、大きな戦慄と悲嘆の涙が再び世界を覆った。
日本におけるフランス語教育のメッカ、「アンスティチュ・フランセ東京」は翌14日、パリで発生した同時多発テロの犠牲者追悼のため、半旗を掲揚。夕方の講義では女性講師が冒頭、「現地からの情報が少なく、状況がよくわからない」と顔を曇らせた。
1月に起きた風刺新聞「シャルリー・エブド」本社襲撃や、ユダヤ系食料品店人質事件に次いで、またしてもパリで起きたテロだ。犯行声明を出した、過激派組織「イスラム国」(IS)の実行犯は、無辜の民に牙をむいた。
「テロはまだ終わっていない」
コンサートが行われていた劇場やカフェなど、多くの人が集まる場所を次々に襲撃し、銃で殺害するという残忍な手口。無差別殺戮による犠牲者は130人を超えた。長年パリに住む日本人は「戒厳令下のような雰囲気の中、自転車に乗って次々と非常線を越え、自宅にやっとたどり着いた」と当日を振り返る。
「実にひどい」。フランスの日刊紙「ル・モンド」のムスタファ・ケスース記者はこう繰り返す。パリ市民は冷静さを取り戻しているように見えるが、心に深い傷を負ったのは想像に難くない。
フランス政府は非常事態宣言を発令。18日には治安部隊によるテロ容疑者の拘束作戦がパリ近郊のサンドニで展開され、銃撃戦で容疑者2人が死亡した。それでも、「テロはまだ終わっていない」とケスース氏はつぶやく。
同時多発テロの衝撃は、フランスだけでなく、世界中を駆け巡った。米国のニュースチャンネル「CNN」は事件発生直後、通常の番組枠を差し替えてパリから生中継。24時間態勢で詳しく伝えた。
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