ネットの開放性をテロとの戦いで潰すな

唯一の防衛策は隔離ではなく暗号化徹底だ

サイバーテロを本質的に防ぐ策は暗号化だけ (写真:Kacper Pempel/ロイター)

かつては米国とソ連の2つの超大国が核戦争の危機を回避するために首脳会談を開いていた。現在では首脳会談を開くのは米国と中国で、主な目的はサイバースペースでの衝突と争いの危険を減らすことだ。

状況は危機的だ。世界がサイバー攻撃の脅威にどう対応するかで、次世代の人々がデジタル時代の恩恵を受けられる度合いが決まるだろう。争いが起こる可能性に加えて、各国政府が過剰反応してインターネットの潜在的な可能性を損なう情報の壁を築く恐れもある。

他国の政治機構や経済組織に大規模なサイバー攻撃を行っているのは中国だけではない。私たちは、攻撃用テクノロジーが防衛用テクノロジーよりも安価で強力であるという、歴史的な転換期のまっただ中にいるのだ。

データを囲い込む動きも

 サイバースペースの交通ルールづくりが必要なのは明白で、米中間の首脳会議はその目標への第一歩だろう。米国がインターネット技術の先導役である一方、中国は最大のユーザー数を抱えているからだ。

しかし、リスクは国家間の政治衝突だけではない。ロシアでは政府が経済的コストを無視してまで、国内で作られた全データを国内のサーバーに保管できるとの規定がある。

同様に気がかりなのは、欧州連合(EU)がプライバシー保護名目でデータの自由流通をブロックする方針を示している点だ。特にドイツでは、市民のデータは邪悪な米国人スパイの手の届かない欧州の大地の上に保管されてさえいれば安全だとの確信があるようだ。

次ページセキュリティを守れるのは暗号化技術だけ
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 御社のオタクを紹介してください
  • 今見るべきネット配信番組
  • 近所で有名な「気になる夫」の生態
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
サイゼリヤが「深夜営業廃止」を決断した裏側
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT