ワーテルローの戦いから200年。フランスのプライドを大きくくじいたナポレオンの大敗を、ド・ゴール将軍は自身の中でのフランス軍史から消し去った。そんなナポレオンだが、ド・ゴール同様、歴史の偉大なリーダーに含まれるであろうことは容易に想像がつく。
政治哲学者アイザイア・バーリンも述べているように、偉大なリーダーには二つの重要な基準がある。一つ目は、そのリーダーが歴史の潮流を認識しているかどうかだ。ビスマルクも、また同じくドイツ人のアデナウアーもそれができていた。ビスマルクの印象的な言葉を借りるなら、「神のマントのきぬ擦れの音」が彼ら二人には聞こえていたのだ。
二つ目は、リーダーが下すべき重要な選択肢があるか否かだ。これこそが、ド・ゴールが偉大なリーダーの一人に数えられる理由だ。第2次世界大戦後のフランスを彼はほぼ一人で立ち直らせた。1958年に権力の座に返り咲くと、アルジェリア戦争を終結させ、第五共和政の成立を実現し、フランスを再び救った。
サッチャーや鄧小平も
英国のチャーチル首相同様、ド・ゴールは戦後の世界秩序におけるフランスの立場が確立された、新しい世界観を国民に示した。
彼らに近いと言える英首相がサッチャーだ。英国初の女性首相であり、そして世界のほかの国も含め、ほとんど前例のなかった女性指導者であっただけでなく、英国経済を衰退から救い出した。英国が混沌の瀬戸際にあった時代に、彼女は過度に幅を利かせる労働組合と戦い、英国に秩序をもたらした。
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